範囲の求め方
下穴であけた径が、めねじの内径 D1 になります。D1 の最小は基準寸法、最大は基準寸法に公差 TD1 を足した値です。
D1 = 12 − 1.082532 × 1.75 = 10.106 mm
6H の最大 = 10.106 + 0.335 = 10.441 mm
5H の最大は 10.371 mm、7H は 10.531 mm で、10.2・10.3 mm はどの等級でも範囲に入ります。
JIS B 0205-4:2001(一般用メートルねじ-第4部:基準寸法) 5. 基準寸法の式 で D1 を計算
JIS B 0209-1:2001(一般用メートルねじ-公差-第1部:原則及び基礎データ) 表3 めねじ内径の公差 を適用
ひっかかり率で比べる
ひっかかり率は、ねじ山がどれだけ深くかみ合うかの割合です。下穴が小さいほど率が上がります。
ひっかかり率 = (12 − 下穴径) ÷ (1.082532 × 1.75) × 100
| 下穴径 | ひっかかり率 | 5H | 6H | 7H |
|---|---|---|---|---|
| 10.1 | 100.3 % | 小 | 小 | 小 |
| 10.2 | 95.0 % | ○ | ○ | ○ |
| 10.3 | 89.7 % | ○ | ○ | ○ |
| 10.4 | 84.5 % | 大 | ○ | ○ |
| 10.5 | 79.2 % | 大 | 大 | ○ |
| 10.6 | 73.9 % | 大 | 大 | 大 |
単位 mm。○ は範囲内、小 は小さすぎ、大 は大きすぎ。
10.1 mm は 100 % の系列の値ですが、0.1 mm に丸めた値のため D1 の最小(10.106 mm)をわずかに下回ります。10.4 mm(84.5 %)は 6H には入りますが、5H では大きすぎです。
JIS B 1004:2009(ねじ下穴径) 表1 下穴径の系列(ひっかかり率の式)・表2(並目) 準拠
どちらを選ぶか
どちらも規格の範囲内なので、強度(率を上げる)とタップの立てやすさ(率を下げる)のどちらを重く見るかで選びます。
- 10.2 mm(95.0 %): ねじ山が深くかかる側。ISO 2306 の推奨ドリル径で、このサイトの推奨下穴径もこの値です。
- 10.3 mm(89.7 %): 削る量が減り、タップを立てやすい側です。
実際の穴はドリル径より少し大きく仕上がることがあるので、範囲の上限に近い径は避けるのが無難です。材料や工具メーカーの推奨値があれば、そちらを優先してください。転造タップ(盛上げタップ)は切削タップより大きい下穴を使うので、この表の値は当てはまりません。
手持ちのドリルが使えるかは、ねじ下穴径のツールにドリル径を入れると、等級ごとに判定できます。
ISO 2306:1972(ねじ下穴用ドリル) の推奨ドリル径(JIS ではない)
ほかのサイズ(M6〜M16 並目)
JIS B 1004 の式で計算した 95 %・90 % の系列と、6H の範囲、このサイトの推奨下穴径です。
| ねじ | 95 % | 90 % | 6H の範囲 | 推奨 |
|---|---|---|---|---|
| M6 | 4.97 | 5.03 | 4.917〜5.153 | 5.0 |
| M8 | 6.71 | 6.78 | 6.647〜6.912 | 6.8 |
| M10 | 8.46 | 8.54 | 8.376〜8.676 | 8.5 |
| M12 | 10.2 | 10.3 | 10.106〜10.441 | 10.2 |
| M16 | 13.9 | 14.1 | 13.835〜14.210 | 14.0 |
単位 mm。系列の値は JIS B 1004 の表と同じく、ピッチ 1.5 mm 以下は 0.01 mm、1.75 mm 以上は 0.1 mm に丸めています。推奨は ISO 2306 の推奨ドリル径です。
ピッチ 1.5 mm 以下では、系列の値が 0.01 mm 単位になります(M10 なら 8.46 と 8.54)。M10 の推奨 8.5 mm はその間で、ひっかかり率は 92.4 % です。
JIS B 1004:2009(ねじ下穴径) 表1 下穴径の系列 の式で計算
JIS B 0209-1:2001(一般用メートルねじ-公差-第1部:原則及び基礎データ) 表3 めねじ内径の公差 を適用