サクッとJIS機械設計・配管計算ツール

現場メモ

M12 の下穴は 10.2 か 10.3 か

更新

結論から言うと、M12(並目 ピッチ 1.75 mm)の下穴は 10.2 mm でも 10.3 mm でも、JIS のめねじ内径の範囲(6H: 10.106〜10.441 mm)に入ります。JIS B 1004 では 10.2 mm がひっかかり率 95 %、10.3 mm が 90 % の系列の値です。

範囲の求め方

下穴であけた径が、めねじの内径 D1 になります。D1 の最小は基準寸法、最大は基準寸法に公差 TD1 を足した値です。

D1 = 12 − 1.082532 × 1.75 = 10.106 mm

6H の最大 = 10.106 + 0.335 = 10.441 mm

5H の最大は 10.371 mm、7H は 10.531 mm で、10.2・10.3 mm はどの等級でも範囲に入ります。

JIS B 0205-4:2001(一般用メートルねじ-第4部:基準寸法) 5. 基準寸法の式 で D1 を計算

JIS B 0209-1:2001(一般用メートルねじ-公差-第1部:原則及び基礎データ) 表3 めねじ内径の公差 を適用

ひっかかり率で比べる

ひっかかり率は、ねじ山がどれだけ深くかみ合うかの割合です。下穴が小さいほど率が上がります。

ひっかかり率 = (12 − 下穴径) ÷ (1.082532 × 1.75) × 100

M12 の下穴径とひっかかり率、等級ごとの判定
下穴径ひっかかり率5H6H7H
10.1100.3 %小小小
10.295.0 %○○○
10.389.7 %○○○
10.484.5 %大○○
10.579.2 %大大○
10.673.9 %大大大

単位 mm。○ は範囲内、小 は小さすぎ、大 は大きすぎ。

10.1 mm は 100 % の系列の値ですが、0.1 mm に丸めた値のため D1 の最小(10.106 mm)をわずかに下回ります。10.4 mm(84.5 %)は 6H には入りますが、5H では大きすぎです。

JIS B 1004:2009(ねじ下穴径) 表1 下穴径の系列(ひっかかり率の式)・表2(並目) 準拠

どちらを選ぶか

どちらも規格の範囲内なので、強度(率を上げる)とタップの立てやすさ(率を下げる)のどちらを重く見るかで選びます。

  • 10.2 mm(95.0 %): ねじ山が深くかかる側。ISO 2306 の推奨ドリル径で、このサイトの推奨下穴径もこの値です。
  • 10.3 mm(89.7 %): 削る量が減り、タップを立てやすい側です。

実際の穴はドリル径より少し大きく仕上がることがあるので、範囲の上限に近い径は避けるのが無難です。材料や工具メーカーの推奨値があれば、そちらを優先してください。転造タップ(盛上げタップ)は切削タップより大きい下穴を使うので、この表の値は当てはまりません。

手持ちのドリルが使えるかは、ねじ下穴径のツールにドリル径を入れると、等級ごとに判定できます。

ISO 2306:1972(ねじ下穴用ドリル) の推奨ドリル径(JIS ではない)

ほかのサイズ(M6〜M16 並目)

JIS B 1004 の式で計算した 95 %・90 % の系列と、6H の範囲、このサイトの推奨下穴径です。

並目ねじの下穴径の系列と 6H の範囲
ねじ95 %90 %6H の範囲推奨
M64.975.034.917〜5.1535.0
M86.716.786.647〜6.9126.8
M108.468.548.376〜8.6768.5
M1210.210.310.106〜10.44110.2
M1613.914.113.835〜14.21014.0

単位 mm。系列の値は JIS B 1004 の表と同じく、ピッチ 1.5 mm 以下は 0.01 mm、1.75 mm 以上は 0.1 mm に丸めています。推奨は ISO 2306 の推奨ドリル径です。

ピッチ 1.5 mm 以下では、系列の値が 0.01 mm 単位になります(M10 なら 8.46 と 8.54)。M10 の推奨 8.5 mm はその間で、ひっかかり率は 92.4 % です。

JIS B 1004:2009(ねじ下穴径) 表1 下穴径の系列 の式で計算

JIS B 0209-1:2001(一般用メートルねじ-公差-第1部:原則及び基礎データ) 表3 めねじ内径の公差 を適用

ツールで確かめる