厚さの許容差はプラス側だけ
JIS B 2220 の表22 では、フランジの厚さの許容差が、厚さ 20 mm 以下で +1.5 mm、20 mm を超え 50 mm 以下で +2 mm、50 mm を超えると +3 mm です。マイナス側はどれも 0 なので、ざぐりの無いフランジなら、実物は表の厚さ t と同じか、それより厚い。平面座(RF)のフランジでは、座の高さ f を除いた t − f に対して決められています。
同じフランジを2枚合わせると、厚さの合計は最大で許容差の2倍まで増えます。10K 50A(t 16 mm)なら 2 × 1.5 = 3 mm です。
JIS B 2220:2012(鋼製管フランジ) 表22 フランジの寸法許容差・表15 呼び圧力10Kフランジの寸法 準拠
計算例: M16×50 が上限の厚さで届かなくなる
10K 50A(M16・t 16 mm)を、M16×50 の六角ボルトで締める場合です。条件はツールの既定(ガスケット 3 mm・JIS本体のナット・座金なし)で、ナットの高さは 14.8 mm。50 mm は、表の厚さでねじ先がナットの外側の面に届くだけの長さ(16 + 16 + 3 + 14.8 = 49.8 mm)を 5 mm 刻みに切り上げたものです。ナットからの突き出しは次の式で出ます。
表の厚さ: 50 − (16 + 16 + 3) − 14.8 = 0.2 mm
上限の厚さ: 50 − (17.5 + 17.5 + 3) − 14.8 = −2.8 mm
表の厚さなら、ねじ先はナットの外側の面から 0.2 mm 出ます。2枚とも上限の 17.5 mm だと、ねじ先はナットの中で止まる。ナットにかかるのは、高さ 14.8 mm のうち 12 mm だけです。
JIS B 2220:2012(鋼製管フランジ) 表15 呼び圧力10Kフランジの寸法・表22 フランジの寸法許容差 の厚さと許容差
JIS B 1181:2014(六角ナット) 表3 六角ナット・スタイル1(第1選択) のナットの高さ(最大)
許容差を見込んだ長さの決め方
このサイトのツールは、ナットからの突き出しを既定で 3 山とし、表の厚さで必要な長さを出しています。厚さが上限でも 3 山出したいときは、t に許容差を足した厚さで同じ式を計算し、5 mm 刻みに切り上げます。10K 50A では次のとおりです。
17.5 + 17.5 + 3 + 14.8 + 3 × 2 = 58.8 mm → 60
表の厚さで計算した 55.8 mm も 60 mm に切り上がるので、10K 50A は推奨長さが変わりません。M16×50 は、表の厚さのときから 3 山には足りない長さでした。
10K 65A(M16・t 18 mm)では、表の厚さで 59.8 mm → 60 mm、上限の厚さで 62.8 mm → 65 mm と、1サイズ変わります。M16×60 のままだと、厚さが上限のときの突き出しは 3.2 mm(1.6 山)。ナットの外には出ますが、3 山には足りません。
| 呼び径 | ボルト・t | t の許容差 | 長さ 表の t | 長さ 上限 |
|---|---|---|---|---|
| 10A・15A | M12・12 | +1.5 | 45 | 50 |
| 20A | M12・14 | +1.5 | 50 | 55 |
| 25A | M16・14 | +1.5 | 55 | 55 |
| 32A〜50A | M16・16 | +1.5 | 60 | 60 |
| 65A〜100A | M16・18 | +1.5 | 60 | 65 |
| 125A | M20・20 | +1.5 | 70 | 75 |
| 150A〜225A | M20・22 | +2 | 75 | 80 |
| 250A・300A | M22・24 | +2 | 80 | 85 |
単位 mm。長さは六角ボルトの首下の長さで、ツールの既定の条件(ガスケット 3 mm・JIS本体のナット・座金なし・5 mm 刻み)。「表の t」は表の厚さで、「上限」は2枚とも t に許容差を足した厚さで計算した長さ。太字は1サイズ長くなる呼び径です。許容差は t に対する値(RF 以外)で、平面座(RF)は t − f に対して決まります。RF の 150A〜225A は +1.5(長さは同じ)。
25A〜50A は、許容差を見込んでも長さが変わりません。それ以外の呼び径は1サイズ長くなる。表の t で決めた長さのままでも、10K ではどの呼び径も上限の厚さでねじ先はナットの外に出ます(突き出し 1.6〜3.6 山)。
ツールの「手持ちのボルトで足りるか」に長さを入れると、表の厚さのときと厚さが上限のときの突き出しを両方出します。ツールは表の t に対する許容差を2枚とも足していて、RF のフランジでは実際の許容差(t − f に対して)と同じか大きい値です。
JIS B 2220:2012(鋼製管フランジ) 表15 呼び圧力10Kフランジの寸法・表22 フランジの寸法許容差 準拠
JIS B 1181:2014(六角ナット) 表3・表4 六角ナット・スタイル1 のナットの高さ
JIS B 0205-2:2001(一般用メートルねじ―第2部:全体系) の並目ピッチ
相手側がもっと厚いとき
表22 の注 a) では、フランジ面間寸法を一定に制限された配管部品の一体フランジ(IT)は、厚さの許容差を規定値の2倍にできるとしています。相手がそうした部品なら、上の上限より厚いことがある。ツールの上限の計算には、この2倍を入れていません。
注 b) では、ざぐりを施す場合のざぐり部分の厚さを、許容差の 70 % までマイナス側に認めています。ざぐり部分が薄くなる向きなので、突き出しは増える側です。
相手側の厚さが分かるときは、ツールの「詳細条件」の「相手側フランジの厚さ」に入れて確かめてください。ガスケット・ナット・座金で長さが変わる条件は「フランジボルトの長さ」の記事にまとめています。
JIS B 2220:2012(鋼製管フランジ) 表22 フランジの寸法許容差 注 a)・注 b) 準拠