線の種類と用途(表5 の25行)
外形線・かくれ線・中心線のように、線には用途による名前があります。名前ごとに、線の太さと形の組合せが表5 で決まっています。
| 名前線の種類 | 用途 |
|---|---|
| 外形線太い実線 | 対象物の見える部分の形を表す |
| 寸法線細い実線 | 寸法を記入する |
| 寸法補助線細い実線 | 寸法を記入するために図形から引き出す |
| 引出線(参照線を含む)細い実線 | 記述・記号などを示すために引き出す |
| 回転断面線細い実線 | 図形の中に、その部分の切り口を 90° 回して表す |
| 中心線細い実線 | 図形に中心線(図例1 の 4.1)を簡略化して表す |
| 水準面線細い実線 | 水面・液面などの位置を表す |
| かくれ線細い破線又は太い破線 | 対象物の見えない部分の形を表す |
| ミシン目線跳び破線 | 布・皮・シート材の縫い目を表す |
| 連結線点線 | 制御機器の内部リンク、開閉機器の連動動作などを表す |
| 中心線細い一点鎖線 | a) 図形の中心を表すb) 中心が移動する中心軌跡を表す |
| 基準線細い一点鎖線 | 特に位置決めのよりどころであることをはっきり示す |
| ピッチ線細い一点鎖線 | 繰返し図形のピッチをとる基準を表す |
| 特殊指定線太い一点鎖線 | 特殊な加工をする部分など、特別な要求事項を適用する範囲を表す |
| 想像線細い二点鎖線 | a) 隣接部分を参考に表すb) 工具・ジグなどの位置を参考に示すc) 可動部分を移動中の特定の位置や移動の限界の位置で表すd) 加工前・加工後の形を表すe) 繰返しを示すf) 図示した断面の手前にある部分を表す |
| 重心線細い二点鎖線 | 断面の重心を連ねた線を表す |
| 光軸線細い二点鎖線 | レンズを通る光軸を示す線を表す |
| パイプライン、配線、囲い込み線一点短鎖線・二点短鎖線・三点短鎖線 | 水・油・蒸気・上下水道などの配管経路を表す |
| パイプライン、配線、囲い込み線一点長鎖線・二点長鎖線・三点長鎖線・一点二短鎖線 | 水・油・蒸気・電源部・増幅部などを区別するため、線で囲い込んで機能を示す |
| パイプライン、配線、囲い込み線二点二短鎖線・三点二短鎖線 | 水・油・蒸気などの配管経路を表す |
| 破断線不規則な波形の細い実線又はジグザグ線 | 対象物の一部を破った境界、又は一部を取り去った境界を表す |
| 切断線細い一点鎖線で,端部及び方向の変わる部分を太くした線 | 断面図を描くとき、その断面の位置を対応する図に表す |
| ハッチング細い実線で,規則的に並べたもの | 図形の限られた特定の部分を他と区別する(例: 断面図の切り口) |
| 特殊な用途の線細い実線 | a) 外形線とかくれ線の延長を表すb) 平面であることを X 字状の2本の線で示すc) 位置をはっきり示す・説明する |
| 特殊な用途の線極太の実線 | 圧延鋼板・ガラスなど薄肉部を単線で図示する |
中心線は2行あります。図形の中心や、中心が動く軌跡を表すのは細い一点鎖線の行です。細い実線の行は、図形に中心線を簡略化して描くときの線です。
想像線は、投影法の上では図形に現れないものを、便宜上示すときに使います。機能や加工の理解を助けるため、図形を補助的に示すのにも使えます(表5 の注b))。切断線は、ほかの用途と取り違えるおそれがなければ、端と向きの変わる所を太くしなくてもかまいません(注d))。
JIS B 0001 では、表5 にない種類の線は JIS Z 8312 か JIS Z 8321 によるのがよいとしています(6.2・表5 の注c))。表5 によらない線を使ったときは、その線の用途を図面に注記します(6.2)。
JIS B 0001:2019(機械製図) 6.2 表5・表5 の注b)〜d) の線の種類と用途
線の太さはどう選ぶ?
線の太さは、0.13・0.18・0.25・0.35・0.5・0.7・1・1.4・2 mm の9つから選びます(JIS B 0001 6.1)。JIS Z 8312 4.1 も同じ9つを挙げ、図面の大きさに応じてどれかにするとしています。隣どうしの値は、およそ 1.4 倍ずつ違います。
細線・太線・極太線の太さの比は、一般に 1:2:4 にします(JIS B 0001 6.2)。9つの値のうち、この比がちょうど成り立つ組は次の3つです。細線を 0.25 mm にすれば、太線は 0.5 mm、極太線は 1 mm です。
| 細線 | 太線 | 極太線 |
|---|---|---|
| 0.25 | 0.5 | 1 |
| 0.35 | 0.7 | 1.4 |
| 0.5 | 1 | 2 |
1本の線は、全長にわたって同じ太さで描かなければなりません(JIS Z 8312 4.1)。太さを一様に描ける製図器具を使うときは、太さのずれを ±0.1d 以内に収めます(4.2。d は線の太さ)。隣り合う太さの違う2本の線がはっきり見分けられるなら、太さは9つの値から外れてもかまいません(4.2)。
JIS B 0001:2019(機械製図) 6.1・6.2 の線の太さと太さの比
JIS Z 8312:1999(製図―表示の一般原則―線の基本原則) 4.1・4.2 準拠
線と線の隙間はどれだけあける?
JIS B 0001 4 c) では、近づけて描く平行線の隙間が、いちばん太い線の2倍以上、しかも 0.7 mm 以上あるのが望ましいとしています。JIS Z 8312 5.1 では、ほかに決まりが無い限り、平行な線の間隔を 0.7 mm より狭くしてはなりません。
交わる線が密集する所では、線の間の隙間を、いちばん太い線の3倍以上にします(4 c))。多数の線が1点に集まるときは、紛らわしくない限り、隙間がいちばん太い線の約2倍になる所で線を止め、点のまわりをあけるのがよい、としています(4 d))。
線は、太さの中心が、本来その線を描く位置に重なるように描かなければなりません(4 b))。
JIS B 0001:2019(機械製図) 4 b)〜d) の線の位置と隙間
JIS Z 8312:1999(製図―表示の一般原則―線の基本原則) 5.1 準拠
線の形(線形)の決まり
実線・破線・一点鎖線のような線の形を、JIS Z 8312 は線形と呼び、表1 で15種を決めています。名前は線の要素の並びを表します。たとえば破線は短線とすき間、一点鎖線は長線・すき間・極短線・すき間の繰返しです(表1 の下の参考)。
要素の長さは、線の太さ d の倍数で決まっています(表3)。表3 は、手書きで図面を作るときの決まりです。
| 要素 | 長さ | 線形の番号表1 の番号 |
|---|---|---|
| 点 | 0.5d 以下 | 04〜07 及び 10〜15 |
| すき間 | 3d | 02 及び 04〜15 |
| 極短線 | 6d | 08 及び 09 |
| 短線 | 12d | 02、03 及び 10〜15 |
| 長線 | 24d | 04〜06、08 及び 09 |
| 長すき間 | 18d | 03 |
製図総則の JIS Z 8310 は、製図に使う線を JIS Z 8312 によるとし、ほかの規格に別の決まりがあればそれに従う、としています(7 a))。CAD で製図するときは、JIS Z 8321 によるのがよいとされています(7 b))。
JIS B 0001 表5 の「細い一点鎖線」などの名前が、表1 のどの番号に当たるかは、どちらの規格票の該当の箇所にも書かれていません。
表1 の線形15種を見る
| 番号 | 名前 |
|---|---|
| 01 | 実線 |
| 02 | 破線 |
| 03 | 跳び破線 |
| 04 | 一点長鎖線 |
| 05 | 二点長鎖線 |
| 06 | 三点長鎖線 |
| 07 | 点線 |
| 08 | 一点鎖線 |
| 09 | 二点鎖線 |
| 10 | 一点短鎖線 |
| 11 | 一点二短鎖線 |
| 12 | 二点短鎖線 |
| 13 | 二点二短鎖線 |
| 14 | 三点短鎖線 |
| 15 | 三点二短鎖線 |
JIS Z 8312:1999(製図―表示の一般原則―線の基本原則) 3.1 表1・4.3 表3 の線形と線の要素の長さ
JIS Z 8310:2010(製図総則) 7 a)・b) 準拠
線が重なったときはどの線で描く?
2種類以上の線が同じ所に重なるときは、次の順で、先にあるものを優先して描きます(JIS B 0001 6.3)。
| 順 | 名前 | 線 |
|---|---|---|
| a) | 外形線 | 太い実線 |
| b) | かくれ線 | 細い破線又は太い破線 |
| c) | 切断線 | 細い一点鎖線で,端部及び方向の変わる部分を太くした線 |
| d) | 中心線 | 細い一点鎖線 |
| e) | 重心線 | 細い二点鎖線 |
| f) | 寸法補助線 | 細い実線 |
たとえば、かくれ線が外形線と同じ位置に来るときは、外形線で描きます。中心線と寸法補助線が重なれば、優先するのは中心線です。
JIS B 0001:2019(機械製図) 6.3 図7 の線が重なるときの順
この記事の確かめ方
照合したのは、JIS B 0001:2019 と JIS Z 8312:1999・Z 8310:2010 の規格票です。表と本文を2回、別々に読み取りました(2026年11月)。
図面の書き方を解説した公開資料とも見比べ、主な線の種類と、平面であることを示す細い実線の書き方は一致しています。線の太さの数列と比 1:2:4 は、読めた資料には載っていませんでした。
JIS Z 8312・Z 8310 の2つは、照合した年版が現行かどうかを確かめていません。
照合に使った資料は、編集方針に書いています。
図面の書き方の記事
- 1本目図面の見方・第三角法
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