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現場メモ

図面の寸法の書き方

公開 ・文責 弁屋(製造業13年・バルブの分野)

図面の寸法は、寸法線・寸法補助線・端末記号(矢印など)と寸法数値で書きます。機械製図の JIS B 0001 は箇条11 で寸法の書き方を決め、直径の φ や面取りの C などの寸法補助記号を表7 の13種にまとめています。

各節では JIS B 0001 の書き方を先に示します。分野を問わない一般原則の JIS Z 8317-1 と違う所は、どちらの規格の決まりかを分けて添えます。

寸法記入の要素

寸法は、寸法線・寸法補助線・寸法補助記号などを使い、寸法数値で示します(JIS B 0001 11.1 c))。JIS Z 8317-1 は、寸法記入の要素を寸法補助線・寸法線・引出線・端末記号・起点記号・寸法数値としています(5.1)。

702×φ83060①②③④⑤⑥⑦
寸法記入の要素です。①寸法線、②寸法数値、③端末記号、④寸法補助線、⑤引出線、⑥参照線、⑦起点記号。線はどれも細い実線で描きます。数値は例です。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。

寸法線・寸法補助線・引出線(参照線を含む)は、どれも細い実線で描きます(JIS B 0001 表5)。端末記号は寸法線や引出線の端に付ける記号で、起点記号は累進寸法や座標寸法の始まりに付ける白丸です(JIS Z 8317-1 3.2.6・3.2.7)。

細い実線などの線の太さを見る

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.1 c)・6.2 表5 の寸法記入の要素と線

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 3.2・5.1 準拠

寸法を書くときの原則

寸法は、対象物の機能・製作・組立を考えて、必要で十分なものを明瞭に書きます(JIS B 0001 11.1 a)・b))。図面に示すのは、特に明示しない限り、仕上がりの寸法です(e))。

寸法は、なるべく主投影図に集めて書きます(d))。計算しなくても読めるように書くこと、工程ごとに分けて並べること、関連する寸法を1か所にまとめることも、なるべく守るように、とされています(f)・h)・i))。加工や組立の基準にする形体(面・穴・軸など、品物の部分)があれば、その形体を基にして寸法を書きます(g))。

同じ寸法を2か所に書く重複記入は避けます(j))。一品多葉図(1つの品物を何枚かの図面に分けて描いたもの)で、重複させたほうが図を理解しやすい場合は、重複して書いてもかまいません。そのときは、たとえば寸法数値の前に黒丸を付け、その記号の意味を図面に注記します。

円弧の部分は、円弧が180°までなら半径で、180°を超えるなら直径で表します(k))。180°以内でも、機能上や加工上で直径が要るものには直径を書きます。

機能上必要な寸法には、JIS Z 8318 による許容限界を指示します(l))。許容限界の指示が無い寸法に普通公差を当てるときは、その規格番号と等級記号(又は数値)を表題欄の中かその近くにまとめて書きます。

普通公差の値を引く

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.1 a)〜l) の寸法記入の原則

寸法補助線の引き方

寸法は、通常、寸法補助線を引いて寸法線を書き、その上側に寸法数値を書きます(JIS B 0001 11.2 a))。寸法補助線を引き出すと図が紛らわしくなるときは、寸法補助線を使わなくてもかまいません。

寸法補助線は、寸法の端に当たる点や線の中心を通り、寸法線に直角に引きます。寸法補助線は、通常、寸法線をわずかに越える所まで延ばします(11.2 b))。寸法補助線と図形の間はわずかに離してもかまいません。離すなら、同じ図面(何枚かに分かれるならその全体)の中でそろえます。

点や線の位置をはっきりさせるため特に必要なときは、寸法線に対して角度をもつ、互いに平行な寸法補助線を引いてもかまいません。その角度は、なるべく60°にするのがよい、と書かれています(11.2 c))。丸みや面取りがある角では、丸みや面取りをする前の形を細い実線で描き、その交点から寸法補助線を引き出します(11.2 d))。交点をはっきり示す必要があるときは、線を交差させるか、交点に黒丸を付けます。

一般原則の JIS Z 8317-1 は、寸法補助線を寸法線から「寸法補助線の太さの約8倍」延ばすとしています(5.4)。技術分野によっては、形体と寸法補助線の間に、同じく約8倍のすき間があってもかまいません。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.2 a)〜d) の寸法補助線

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 5.4 準拠

寸法線と端末記号

寸法線は、長さや角度を測る方向に平行に引き、両端に端末記号を付けます(JIS B 0001 11.3 a))。角度の寸法線は、角度をつくる2辺か、その延長の寸法補助線の交点を中心にした円弧です(11.3 b))。

端末記号の形は、JIS Z 8317-1 の図11 に6種類あります。大きさは附属書A(規定)で、文字の高さ h の比として決まっています。JIS B 0001 の図100 には、このうち4つと同じ形の記号が例として載っていて、名前と大きさは書かれていません。

30°塗りつぶし矢長さ h・開き角 30°30°白抜き矢長さ h・開き角 30°30°開き矢長さ h・開き角 30°90°開き矢長さ 0.4h斜線(45°傾斜)長さ h・45°黒丸直径 0.5h起点記号直径 0.8h
JIS Z 8317-1 の端末記号6種類と起点記号です。大きさは附属書A の比で、h は文字の高さです(図は h を 10 として描きました)。線の太さは規格に値が無いので、図では見やすい太さにしています。
端末記号と起点記号(JIS Z 8317-1 図11・図12・附属書A 図A.1。h は文字の高さ)
名前大きさB 0001図100
30°塗りつぶし矢長さ h・開き角 30°d)
30°白抜き矢長さ h・開き角 30°—
30°開き矢長さ h・開き角 30°a)
90°開き矢長さ 0.4h—
斜線(45°傾斜)長さ h・45°c)
黒丸直径 0.5hb)
起点記号直径 0.8h—

表の B 0001 の欄は、図100 の a)〜d) のうち同じ形の記号で、形を見比べて対応させたものです。

1枚の図面の中では、図100 の4つを混ぜて使ってはなりません(JIS B 0001 11.3 a))。例外は、狭い所で矢印の代わりに黒丸か斜線を使う場合です(11.3 g) 3))。混用の決まりは JIS B 0001 にだけあり、JIS Z 8317-1 には書かれていません。

隣り合って続く寸法線と、関連する部分の寸法は、一直線にそろえて書くのがよいとされています(11.3 d))。段差がある形体の間の寸法は、直列に書くか、累進寸法記入法で一方に起点記号、もう一方に矢印を付けて書きます(11.3 e))。

対称な図形の片側だけを描いた図では、寸法線を中心線の向こうまで適切な長さに延ばし、延ばした端には端末記号を付けません(11.3 h))。誤解のおそれが無ければ、中心線を越えなくてもかまいません。JIS Z 8317-1 は、直径を片方の端末記号だけで表すとき、寸法線は中心を越えていなければならない、としています(7.2)。

一般原則の JIS Z 8317-1 は、寸法線をほかの線と交差させてはならない、としています(5.2)。やむを得ず交差するときも、寸法線は切らずに引きます。破断線で中間を省いた図でも、寸法線は切りません。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.3 a)〜e)・h)・図100 の寸法線と端末記号

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 5.2・5.3・7.2・図11・附属書A 図A.1 準拠

狭い所の寸法はどう書く?

寸法補助線の間が狭いときは、部分拡大図を描いて寸法を書くか、次の3つのどれかによります(JIS B 0001 11.3 g))。1つ目は、寸法線から斜めに引き出した引出線の先の参照線に、寸法数値を書く方法です。このとき、引出線の寸法線側の端には何も付けません。

2つ目と3つ目は、規格で「してもよい」とされている書き方です。寸法線を延長し、その上側に数値を書いてもかまいません。矢印を書く余地が無いときは、矢印の代わりに黒丸か斜線を使えます。この黒丸・斜線は、端末記号を混ぜて使わない決まりの例外になっています。

JIS Z 8317-1 でも、狭い所では寸法線を延長し、外側から当てる逆向きの矢印を使ってもかまいません(5.2)。数値は、延長した寸法線の上側や、寸法線に接して引いた引出線の参照線の上に置くことができます(5.6.3)。図11 では黒丸の名前に、矢印を書く場所が無いときに使うもので、斜線を使ってもよい、と書き添えてあります。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.3 g) の狭い所の寸法

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 5.2・5.6.3・図11 f) 準拠

寸法数値の書き方と向き

長さの寸法数値は、通常はミリメートルで書き、単位記号は付けません(JIS B 0001 11.4 a))。角度は一般に度で書き、必要なら分・秒を併用してもかまいません(11.4 b))。度・分・秒は数字の右肩に °・′・″ を、ラジアンは rad を付けます。

小数点は下の点にします。数字の間を少しあけ、その間に小数点を大きめに書きます(11.4 c))。桁が多くても、3桁ごとのコンマは付けません。

数値は、水平の寸法線なら図面の下辺から、垂直の寸法線なら右辺から読める向きに書きます(11.4 d) 1)。累進寸法記入法を除く)。寸法線を切らずに書くときは、寸法線に沿って上側にわずかに離し、寸法線のほぼ中央に置きます(d) 2))。

4030約30°約30°
左は、水平の寸法線の数値を下辺から、垂直の寸法線の数値を右辺から読める向きに書いた例です(数値は例)。右の紫の範囲は、垂直線から左上〜右下へ約30°以内に傾いた寸法線の向きで、この向きの寸法線には数値の記入を避けます。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。

垂直線から左上〜右下へ約30°以内に傾いた寸法線には、数値の記入を避けます(11.4 d) 3))。図形の都合でその範囲に書かなければならないときは、紛らわしくないように書きます。角度の数値は図113 の向きに書くとされています。図113 には、数値を円弧に沿って回した例と、すべて水平に書いた例の2つがあります。本文には、どちらを使うかの決まりはありません。

数値を書く場所が確保できない場合に限り、寸法線を中断し、そこに数値を書いてもかまいません(d) 2))。中断する書き方としない書き方は、できる限り1つの図面の中で混ぜないほうがよい、と書かれています。

数値は、図面の線に重ねて書いてはなりません(11.4 f))。やむを得ないときは、引出線と参照線を使います。寸法線どうしが交わる所にも書きません(g))。線で分割されない位置に書くのがよい、ともしています(e))。

直径の寸法が対称中心線の方向にいくつも並ぶときは、寸法線をなるべく同じ間隔にし、小さい寸法を内側、大きい寸法を外側にして、数値をそろえるのがよい、とされています(h))。寸法線が長くて中央では分かりにくいときは、片方の端末記号の近くに寄せて書いてもかまいません(i))。

一般原則の JIS Z 8317-1 は、寸法・記号・注記を図面の下側か右側から読めるように示す、としています(4.1)。約30°の範囲を避けることと、寸法線を中断して数値を書くことは、JIS Z 8317-1 には書かれていません。角度の基準寸法や公差が分・秒だけのとき、JIS Z 8317-1 は「0°」か「0°0′」に続けて書くとしています(7.5)。JIS B 0001 の例には、度を付けない 3′21″ も載っています(11.4 b) 例1)。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.4 a)〜i)・図113・図114 の寸法数値

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 4.1・5.6・7.5 準拠

寸法補助記号(表7 の13種)

寸法補助記号は、寸法数値に添えて、形体の形を表す記号です。種類と呼び方は、JIS B 0001 の表7 によります(11.6.1)。書く位置の欄は、記号ごとの箇条から取りました。

寸法補助記号(JIS B 0001 表7 の13種。書く位置は 11.6・11.7)
記号意味呼び方書く位置
φ180°を超える円弧の直径又は円の直径まる又はふぁい寸法数値の前11.6.3
Sφ180°を超える球の円弧の直径又は球の直径えすまる又はえすふぁい寸法数値の前11.6.4 a)
□正方形の辺かく辺の長さの寸法数値の前11.6.5 a)
R半径あーる寸法数値の前11.6.2 a)
CRコントロール半径しーあーる半径の数値の前11.6.2 h)
SR球半径えすあーる寸法数値の前11.6.4 a)
⌒円弧の長さえんこ寸法数値の前又は上11.6.7 b) 1)
C45°の面取りしー寸法数値の前11.6.8
∧円すい(台)状の面取りえんすい寸法数値の前(数値の後に × と頂角)11.6.8
t厚さてぃー厚さの寸法数値の前11.6.6
⌴ざぐり/深ざぐりざぐり/ふかざぐり下の「穴の寸法」の節を参照
⌵皿ざぐりさらざぐり皿穴の直径の寸法の次11.7 e)
↧穴深さあなふかさ穴の直径の寸法の次11.7 c)

表7 の ⌴ の欄には、「ざぐりは、黒皮を少し削り取るものも含む」という注記があります。⌴ を穴の寸法のどちら側に書くかは、下の「穴の寸法」の節で説明します。

JIS Z 8317-1 の 7.1 にあるのは、φ・R・□・Sφ・SR・⌒・t・C の8つです。CR・∧・⌴・⌵・↧ は、JIS B 0001 の表7 にだけあります。C は JIS が足した記号で、対応する国際規格(ISO 129-1)にはありません(JIS Z 8317-1 7.1 の注1))。

φ15直径(側面の図)R30半径□10正方形(側面の図)C245°の面取り⌒42円弧の長さt0.7厚さ(板の図の中)
寸法補助記号の使用例です。数値は JIS B 0001 の図の例(φ15・R30・□10・C2・⌒42・t0.7)で、図の大きさとは比例していません。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。

φ(直径): 直径は、寸法数値の前に φ を付けて表します。180°を超える円弧や円の直径で、寸法線の両端に端末記号が付くときは、φ を書かなくてもかまいません(JIS B 0001 11.6.3 a))。引出線を使って直径を書くときと、円の一部が欠けて端末記号が片側だけのときは、φ を書きます(a)・b))。円形を図に表さずに円形と示すときも、φ を数値と同じ文字の高さで書きます(c))。数値の後に「キリ」「リーマ」のような円形になる加工方法を書くときは、φ を省いてもかまいません(d))。

一般原則の JIS Z 8317-1 7.2 は、弧を張る角度が180°を超える場合は φ を省略する、と言い切っています。JIS B 0001 では「書かなくてもよい」という許容で、省略を求めてはいません。JIS Z 8317-1 の省略は、JIS で足した規定です(附属書JA)。JIS B 0001 の注記によると、ISO 129-1 は、3D CAD で図形を回すと円がだ円に見えることを考え、180°を超える円弧や円にも φ を付けるよう決めています。

R(半径): 半径は、R を寸法数値の前に、数値と同じ文字の高さで書きます(11.6.2 a))。寸法線を円弧の中心まで引くときは、R を省いてもかまいません。半径の寸法線には円弧の側だけに矢印を付け、中心の側には付けません(b))。かどの丸みなどにコントロール半径を求めるときは、CR を半径の数値の前に書きます(h))。コントロール半径は、直線部と曲線部が滑らかにつながり、輪郭が最大と最小の許容半径の間に入るように規制する半径です(3.5)。

Sφ・SR(球): 球の直径と半径は、寸法数値の前に、数値と同じ文字の高さで Sφ・SR を書きます(11.6.4 a))。

□(正方形): 断面が正方形の部分を、その形を描かずに正方形と示すときは、辺の長さの数値の前に、数値と同じ大きさで □ を書きます(11.6.5 a))。正方形が図に現れるときは、両辺の寸法を書くか、□ を付けて一辺に書きます(b))。

⌒(円弧の長さ): 円弧の長さは、円弧と同心の円弧を寸法線にして、寸法数値の前か上に ⌒ を付けます(11.6.7 b) 1))。寸法補助線は、弦の長さと同じく弦に直角に引きます。同心の円弧のうち1つの長さを示すため、数値の後に半径を括弧で添える書き方では、⌒ を付けてはなりません(b) 2))。一般原則の JIS Z 8317-1 は、⌒ を数値の前に付けるとしていて(7.1・7.5)、上に書く書き方は JIS B 0001 にだけあります。

t(厚さ): 板の主投影図に厚さを示すときは、図の近くか図の中の見やすい位置に、厚さの数値の前に t を付けて書きます(11.6.6)。

JIS B 0001:2019(機械製図) 3.5・11.6.1〜11.6.7 表7 の寸法補助記号

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 7.1〜7.6・附属書JA 準拠

面取りの C と円すいの ∧

一般の面取りは、ふつうの寸法の書き方で表します(JIS B 0001 11.6.8)。45°の面取りは、2×45° のように「面取りの寸法数値×45°」で書くか、C2 のように寸法数値の前に C を付けます。C の文字の高さは、数値と同じです。

円筒の端を面取りして円すい台の形にするときは、∧ を寸法数値の前に書き、数値の後に × と円すいの頂角を続けます。図156 の例2 は ∧φ10×120° です。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.6.8・図154〜図156 の面取り

寸法の配置(直列・並列・累進・座標)

並んだ形体の寸法の書き方には、直列・並列・累進・座標の4つの記入法があります(JIS B 0001 11.5)。直列と並列では、公差の累積についての書き方が違います。

直列304921並列3079100累進3079100
左端から3つの面までの位置(30・79・100)を、直列・並列・累進の3つの記入法で書いた例です。位置の値は JIS Z 8317-1 図60 の例で、直列の 49 と 21 は隣どうしの差です。累進は左端の起点記号から測り、数値を矢印の近くに書いています。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。
寸法の配置と公差の累積(JIS B 0001 11.5)
記入法公差の累積規格の書き方
直列寸法記入法累積する公差が順に累積してもよい場合に使う11.5.1
並列寸法記入法累積しない各寸法の公差がほかの寸法の公差に影響しない11.5.2
累進寸法記入法累積しない並列寸法記入法と全く同じ意味11.5.3
座標寸法記入法記述なし公差の累積についての文は無い11.5.4

直列寸法記入法は、各寸法を一列に連ねる書き方です。個々の寸法の公差が順に累積してもよい場合に使います(11.5.1)。一般原則の JIS Z 8317-1 では、公差の累積が部品の機能に影響しない場合に用いる、という注記になっています(8.4。注記は規定ではありません)。

並列寸法記入法は、共通の基準から各形体までの寸法を並べて書きます。個々の寸法の公差は、ほかの寸法の公差に影響しません(11.5.2)。共通側の寸法補助線の位置は、機能や加工の条件を考えて選びます。

累進寸法記入法は、並列と全く同じ意味のまま、1本の寸法線でつないで書く方法です(11.5.3)。起点の位置を起点記号 ○ で、寸法線のもう一方の端を矢印で示します。数値は、寸法補助線に並べて書くか、矢印の近くの寸法線の上側に書きます。JIS Z 8317-1 は、図面の場所が限られるときや判読に問題が無いときに、累進寸法記入法を使ってもよいとしています(8.3)。

座標寸法記入法では、穴の位置や大きさを、起点からの X・Y の値の表にしてもかまいません(11.5.4.1)。起点は、基準穴や品物の一隅など、機能や加工の条件を考えて選ぶのがよい、としています。カムの輪郭などは、角度と半径の表(極座標寸法記入法)で示してもかまいません(11.5.4.2)。

座標寸法記入法と、JIS Z 8317-1 にある複合寸法記入法(2つ以上の記入法を同じ図面で使うもの。8.6)・表形式寸法記入法では、公差の累積について規格は触れていません。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.5.1〜11.5.4 の寸法の配置

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 3.4・8.2〜8.6 準拠

穴の寸法(キリ・個数・深さ・ざぐり)

穴の加工方法で区別を示す必要があるときは、工具の呼び寸法か基準寸法を書き、続けて加工方法を書きます(JIS B 0001 11.7 a))。加工方法は、用語か JIS B 0122 の加工方法記号で書きます。表8 の4つは、簡略表示を使ってもかまいません。

穴の加工方法の簡略表示(JIS B 0001 表8。加工方法記号は JIS B 0122 による記号)
加工方法簡略表示加工方法記号
鋳放しイヌキ−
プレス抜き打ヌキPPB
きりもみキリD
リーマ仕上げリーマDR

規格の図の例は 6キリ・25リーマ・30打ヌキ・40イヌキ です(図159・図160)。この場合は、指示した加工寸法に普通公差が当てはまる、と注記されています。円形になる加工方法を数値の後に書いたときは、φ を省いてもかまいません(11.6.3 d))。

ピッチ円やピッチ線の上に並ぶ同じ寸法の穴は、穴から引出線を出し、参照線の上側に「総数×穴の寸法」を書きます(11.7 b)。例 13×20)。総数は、1か所の一群の穴の数です。両側にフランジがある管継手なら、片側のフランジの穴の数を書きます。JIS Z 8317-1 は、等間隔に並ぶ形体の間隔を 5×18(=90) のように「間隔の数×間隔(=間隔の合計)」と書いてもよい、としています(7.7 図47)。

穴の深さは、穴の直径の寸法の次に、↧ に続けて深さの数値を書くのがよい、とされています(11.7 c)。例 φ8↧15)。貫通穴には深さを書きません。深さは、ドリルの先の円すい部などを含まない、円筒部の深さです。傾いた穴の深さは、穴の中心軸線の上の長さで表します。

6キリきり穴(図159)φ815穴深さ(図162)9キリφ201ざぐり(図166)9キリφ14皿ざぐり(図168)
穴の指示を、引出線と参照線で書いた例です。文字は JIS B 0001 の図の例のとおりで、穴の断面の形と大きさは模式です。⌴ を穴の寸法の前と後のどちらに書くかは、確かめられていません(本文の説明を参照)。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。

ざぐりと深ざぐりは、ざぐりの記号 ⌴ に続けてざぐりの数値を書いて表します(11.7 d))。照合に使った写しの文字では、本文は ⌴ を穴の直径を示す寸法の「前に」書くと読めます(本文の文字は規格票では未確認)。一方、図166・図167 の例は 9キリ⌴φ20↧1・φ9⌴φ14↧7.4 で、穴の寸法の後に ⌴ が来ています。⌴ を前と後のどちらに書くかは、確かめられていません。

鋳造品や鍛造品の表面を削り取る程度の浅いざぐりでも、ざぐりの深さを指示します(d))。深さが浅いときは、図でざぐりの形を省いてもかまいません(図166)。深ざぐりの底の位置を反対側の面から決める必要があるときは、その寸法線を書きます。図167 の注記には、穴とざぐり穴は1行に続けても(直列)、行を分けても(並列)記載できる、とあります。

皿ざぐり穴は、皿穴の直径の寸法の次に、⌵ に続けて皿ざぐり穴の入り口の直径を書きます(11.7 e)。例 9キリ⌵φ14)。深さを規制するときは、開き角と深さの数値も添えます。皿ざぐりの簡略な図示では、入り口の直径と開き角を × でつなぎ、φ15×90° のように寸法線の上側か延長線の上に書きます。

長円の穴は、穴の機能や加工方法に応じて、次のどれかで寸法を書きます(11.7 f))。長円の長さと幅、平行な2平面の部分の長さと幅、工具の回転軸線の移動距離と工具径の3つです。前の2つでは、両端が円弧であることを (R) で示します。3つ目では、工具径を1か所だけに書きます。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.6.3 d)・11.7 a)〜f)・表8・図159〜図172 の穴の寸法

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 7.7 準拠

参考寸法・理論的に正確な寸法・比例しない寸法

参考寸法は、寸法数値に括弧を付けます(JIS B 0001 11.1 m))。参考寸法は、検証の対象にしません。JIS Z 8317-1 は、参考寸法を情報提供のためだけのものとし、公差を付けないとしています(7.11)。理論的に正確な寸法は、寸法数値を長方形の枠で囲みます(11.1 m))。

図の一部がその寸法数値に比例しないときは、数値に太い実線の下線を引きます(11.13)。一部を切断して省いたときなど、比例しないことを特に示す必要が無ければ、下線は省きます。JIS Z 8317-1 は、図面の変更など特殊な場合に生じる、尺度に比例しない寸法の数値に太い下線を引く、としています(7.10)。

1個の品物に全く同じ寸法の部分が2つ以上あるときは、寸法をそのうちの1つにだけ書くのがよい、とされています(11.14)。その場合は、寸法を書かない部分が同じ寸法であることを注記します。薄肉部の内側を示す寸法には、φint 34 のように数値の前に int を付けてもかまいません(11.10 b))。

JIS B 0001:2019(機械製図) 11.1 m)・11.10・11.13・11.14 準拠

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 7.10・7.11 準拠

JIS Z 8317-1 と JIS B 0001 で違う所

JIS Z 8317-1 は分野を問わない寸法記入の一般原則で、JIS B 0001 が引用している規格です。同じ事柄でも、2つの規格で書き方が違う所があります。主なものを表にしました。

違う所10項目を見る
寸法の書き方で、JIS B 0001 と JIS Z 8317-1 が違う所
項目2つの規格の書き方
寸法補助線の延長JIS B 0001: 寸法線をわずかに越える所まで(11.2 b))JIS Z 8317-1: 寸法補助線の太さの約8倍(5.4)
寸法補助線と図形の間JIS B 0001: わずかに離すのは許容。離すなら図面の中で統一(11.2 b))JIS Z 8317-1: 技術分野によって約8倍のすき間を許容(5.4)
端末記号JIS B 0001: 図100 に4つの例。名前と大きさの記載なしJIS Z 8317-1: 図11 に6種類。大きさは附属書A
端末記号の混用JIS B 0001: 1枚の図面の中で禁止(狭い所の黒丸・斜線を除く。11.3 a))JIS Z 8317-1: 記載なし
180°を超える円弧・円の φJIS B 0001: 両端に端末記号があれば省略を許容(11.6.3 a))JIS Z 8317-1: 省略(要求。7.2)
⌒ の位置JIS B 0001: 寸法数値の前か上(11.6.7 b) 1))JIS Z 8317-1: 寸法数値の前(7.1・7.5)
寸法補助記号の数JIS B 0001: 表7 に13種JIS Z 8317-1: 7.1 に8つ
直列寸法記入法を使う場面JIS B 0001: 公差が累積してもよい場合(規定。11.5.1)JIS Z 8317-1: 累積が機能に影響しない場合(注記。8.4)
数値を避ける約30°の範囲JIS B 0001: あり(11.4 d) 3))JIS Z 8317-1: 記載なし
寸法線の中断JIS B 0001: 数値を書く場所が無い場合に限り許容(11.4 d) 2))JIS Z 8317-1: 記載なし

JIS B 0001:2019(機械製図) 箇条11 準拠

JIS Z 8317-1:2008(製図―寸法及び公差の記入方法―第1部:一般原則) 4〜8・附属書A 準拠

この記事の確かめ方

照合したのは、JIS B 0001:2019 と JIS Z 8317-1:2008 の規格票です。表と本文を2回、別々に読み取りました(2026年11月)。

図面の書き方を解説した公開資料とも見比べ、寸法記入の原則、数値の書き方、寸法の配置、表8 の4行などは一致しています。浅いざぐりの深さについて、JIS と違う説明をした資料が1つありました。寸法補助記号13種の一覧と、端末記号の大きさを文字で書いた資料は見つかりませんでした。

JIS Z 8317-1 は、照合した 2008年版が現行かどうかを確かめていません。

照合に使った資料は、編集方針に書いています。

図面の書き方の記事

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