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現場メモ

図面の尺度と図枠(輪郭線・表題欄)

公開 ・文責 弁屋(製造業13年・バルブの分野)

図面の尺度は、図に描いた長さと実物の長さの比で、A:B の形で書きます。機械製図の JIS B 0001 は、尺度の値を表6 の推奨尺度から選ぶとしています。

後半では、図面の外まわりにある輪郭線・とじ代・表題欄・中心マークの決まりを扱います。用紙そのものの寸法は図面の用紙サイズの表にあります。

尺度 A:B の書き方

尺度は A:B と書き、A が図に描いた長さ、B が実物の長さです(JIS B 0001 9 a))。現尺は 1:1 です。倍尺は B を1にして 5:1 のように、縮尺は A を1にして 1:2 のように書きます。

実物40 mm縮尺1:220 mm倍尺2:180 mm
長さ 40 mm の品物を、縮尺 1:2 と倍尺 2:1 で描いた例です。図に描いた長さ A と実物の長さ B の比が、尺度 A:B です。

JIS Z 8314 では、比が大きくなることを「尺度が大きくなる」と言います(2.3・2.4)。1:2 と 1:5 なら、1:5 のほうが小さい尺度です。

図面には「尺度 1:2」のように、「尺度」の文字に続けて比を書きます。誤って読まれるおそれが無ければ、「尺度」の文字は省いてもかまいません(JIS Z 8314 3)。

JIS B 0001:2019(機械製図) 9 a) の尺度の表し方

JIS Z 8314:1998(製図―尺度) 2.3・2.4・3 準拠

推奨尺度18値

尺度の値は、JIS B 0001 の表6 によります(9 b))。JIS Z 8314 の表1 も同じ18値です。

推奨尺度(JIS B 0001 表6 の18値)
種別尺度
倍尺50:1 20:1 10:1 5:1 2:1
現尺1:1
縮尺1:2 1:5 1:10 1:20 1:50 1:100 1:200 1:500 1:1 000 1:2 000 1:5 000 1:10 000

尺度は、品物の複雑さと図面の目的に合わせて選びます。どの場合も、描いた情報を楽に、誤りなく読み取れる大きさの尺度にしなければなりません(JIS Z 8314 5.2)。小さい品物を倍尺で描いたときは、参考として現尺の図を書き加えるのがよい、としています。現尺の図は、輪郭だけの簡単なものでかまいません(JIS B 0001 9 d))。

縮小・拡大して複写した図面には、JIS Z 8314 の尺度は当てはまりません(JIS Z 8310 10.2 b))。複写図の尺度は、原図の尺度と違うことがあります(JIS Z 8314 2.1 の備考)。

JIS B 0001:2019(機械製図) 9 b)・d) 表6 の推奨尺度

JIS Z 8314:1998(製図―尺度) 2.1・5.2・表1 準拠

JIS Z 8310:2010(製図総則) 10.2 b) 準拠

中間の尺度(1:1.5・1:3 など)

JIS Z 8314 の附属書1 には、推奨尺度とは別に中間の尺度が38値あります。倍尺が6値、縮尺が32値です。倍尺はどれも √2 を含む値なので、3:1 は推奨尺度にも中間の尺度にもありません。

JIS Z 8314 の表1 の下の備考には、中間の尺度を使ってよい場合が書かれています。やむを得ず推奨尺度を使えないときは、中間の尺度を使ってもかまいません。その値は、附属書1 の38値から選ぶのが望ましい、とされています。

表1 より大きい倍尺や小さい縮尺が特に要るときは、範囲を上下に広げてもかまいません。使う尺度は、推奨尺度に 10 の整数乗を掛けたものにします(同じ備考)。JIS B 0001 の尺度の箇条(箇条9)には、中間の尺度と 10 の整数乗の記述はありません。中間の尺度は、対応する国際規格(ISO 5455)にも無い、と附属書1 に書かれています。

中間の尺度38値を見る
中間の尺度(JIS Z 8314 附属書1 附属書表1 の38値)
種別尺度
倍尺50√2:1 25√2:1 10√2:1 5√2:1 2.5√2:1 √2:1
縮尺(√2 を含む)1:√2 1:2√2 1:5√2 1:10√2 1:20√2 1:50√2 1:100√2 1:200√2 1:500√2 1:1 000√2 1:2 000√2 1:5 000√2
縮尺1:1.5 1:2.5 1:3 1:4 1:6 1:15 1:25 1:30 1:40 1:60 1:150 1:250 1:300 1:400 1:600 1:1 500 1:2 500 1:3 000 1:4 000 1:6 000

JIS Z 8314:1998(製図―尺度) 表1 の備考・附属書1 附属書表1 の中間の尺度

尺度はどこに書く?

図面に使った尺度は、表題欄に書きます(JIS Z 8314 4.1)。1枚の図面で複数の尺度を使うときは、表題欄には主となる尺度だけを入れます。ほかの尺度は、部品の照合番号(例: ①)か、詳細図・断面図の照合文字(例: A部)の近くに書きます(JIS B 0001 9 c)、JIS Z 8314 4.2)。

AA部5:1表題欄尺度 1:2
主となる尺度(1:2)を表題欄に、部分拡大図の尺度(5:1)を照合文字「A部」の近くに書いた例です。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。

図形が寸法に比例していない図面には、「非比例尺」「NOT TO SCALE」「SCALE: NONE」などと、その旨を適切な所に明記します。表題欄のものも含め、ここまでの尺度の表示は、見誤るおそれが無ければ書かなくてもかまいません(9 c))。

二次元の図面に参考として立体図を描いたときは、その立体図には尺度を書きません(9 c))。図形の横方向と縦方向で尺度を変えるときは、それぞれの尺度を図面に示します(JIS Z 8310 10.2 c))。

JIS B 0001:2019(機械製図) 9 c) の尺度を書く場所

JIS Z 8314:1998(製図―尺度) 4.1・4.2 準拠

JIS Z 8310:2010(製図総則) 10.2 c) 準拠

図枠の輪郭線と余白

この記事では、輪郭線とその外側の余白に、中心マークと表題欄を加えたものを図枠と呼びます。JIS B 0001 は、表4 の寸法で、太さ 0.5 mm 以上の輪郭線を設けるとしています(5.2 b))。輪郭線の内側が、図を描く範囲です。

輪郭線の位置(JIS B 0001 表4。単位 mm、値は最小)
呼び方cd とじないd とじる
A0202020
A1202020
A2101020
A3101020
A4101020

c は、用紙の縁から輪郭線までの幅です。d はとじる側の辺の幅で、とじる場合はどのサイズも 20 mm 以上にします。d の辺は、とじるために折りたたんだとき表題欄の左側に来る辺です。A0〜A3 の横置きと A4 の縦置きでは左、A4 の横置きでは上になります(表4 と注a))。

dA3 横置きdA4 縦置きdA4 横置き
用紙と余白を寸法の比で描いた図です(とじる場合。c は 10 mm、d は 20 mm)。紫の短い線は中心マーク、右下の四角は表題欄です。表題欄の大きさは模式です。

図面は長辺を横にして使います。短辺を横にした縦置きで使ってよいのは、A4 だけです(5.2 a))。

JIS Z 8311 は、輪郭をすべてのサイズの図面に設けなければならない、としています(6.1)。輪郭の幅は、A0・A1 で 20 mm 以上、A2〜A4 で 10 mm 以上あるのが望ましいとされています。輪郭線も、0.5 mm 以上の太さの実線で描くのがよい、としています(6.3)。とじ代は設けてもよく、設けるなら輪郭を含めて 20 mm 以上の幅を、表題欄から最も離れた左の端に取ります(6.2)。

用紙サイズと輪郭の余白の表を見る

JIS B 0001:2019(機械製図) 5.2 a)・b) 表4 の向きと輪郭線

JIS Z 8311:1998(製図―製図用紙のサイズ及び図面の様式) 6.1〜6.3 準拠

表題欄に書くこと

表題欄は、図面の右下隅に設けます(JIS B 0001 5.2 c))。書く事項は図面番号・図名・企業(団体)名・責任者の署名・図面作成年月日・尺度・投影法などで、この7つに限りません。

表題欄のうち、図面番号・図名など図面を特定する部分は、長さ 170 mm 以下でなければなりません(JIS Z 8311 5.2)。表題欄全体ではなく、この部分だけの長さの決まりです。

JIS Z 8311 5.1 は、図面を特定する部分が右下隅に来るようにするのがよい、としています。表題欄を見る向きも、ふつうは図面の向きに合わせるのがよいとされています。印刷した製図用紙を節約のため向きを変えて使うときに限り、その部分が右上隅に来てもかまいません。図面番号は、ほかの場所に足して書くこともできます。

表題欄の中かその近くには、投影法の記号を書きます(JIS B 0001 8.3・8.4)。許容限界の指示が無い寸法に普通公差を当てるときは、その規格番号と等級記号(又は数値)も、表題欄の中かその近くにまとめて書きます(11.1 l))。必要に応じて、部品欄や変更履歴欄を設けるのがよい、とされています(5.2 d))。普通公差の値は普通公差のツールで引けます。

JIS Z 8311 は、表題欄の完全な様式(欄の割り方)までは決めていません(箇条1 の注1))。

投影法の記号を見る

JIS B 0001:2019(機械製図) 5.2 c)・d)・8.3・8.4・11.1 l) の表題欄

JIS Z 8311:1998(製図―製図用紙のサイズ及び図面の様式) 1・5.1・5.2 準拠

中心マークは何のため?

中心マークは、複写やマイクロフィルム撮影で図面の位置を合わせるための印です。第1優先(A0〜A4)と第2優先の延長サイズの図面には、用紙の4辺の中央に4個を設けなければなりません(JIS Z 8311 7)。

中心マークは、用紙の端から輪郭線の内側約 5 mm までの範囲に、0.5 mm 以上の太さの直線で描きます。位置の許容差は ±0.5 mm とするのがよい、としています。第3優先のサイズは分けて撮影するので、長辺の上で、画面ごとの中央に中心マークを足します。

表題欄dcc中心マーク輪郭線
A3 を横置きにして、とじる場合の例(c 10 mm 以上、d 20 mm 以上)。d は左の辺で、A4 を横置きにしたときだけ上の辺になります。中心マークは4辺の中央、表題欄は右下隅。模式図です。形と比率は実物どおりではありません。

JIS B 0001 5.2 e) は、中心マークなどを JIS Z 8311 によるとしています。印刷した製図用紙には、表題欄・輪郭線・中心マークを示しておくのがよいとされています(JIS Z 8311 12)。

用紙サイズのページで表題欄と中心マークを見る

JIS B 0001:2019(機械製図) 5.2 e) 準拠

JIS Z 8311:1998(製図―製図用紙のサイズ及び図面の様式) 7・12 の中心マーク

この記事の確かめ方

照合したのは、JIS B 0001:2019 と JIS Z 8310・Z 8311・Z 8314 の規格票です。表と本文を2回、別々に読み取りました(2026年11月)。

推奨尺度18値と尺度の書き方、輪郭の余白、中心マーク、表題欄の位置は、図面の書き方を解説した公開資料とも見比べています。表題欄を右上に置いてよい場合を JIS より広く書いた資料が1つありました。中間の尺度と表題欄の 170 mm は、読めた資料には載っていませんでした。

JIS Z 8310・Z 8311・Z 8314 の3つは、照合した年版が現行かどうかを確かめていません。

照合に使った資料は、編集方針に書いています。

図面の書き方の記事

次に読む: 図面の寸法の書き方

  1. 1本目図面の見方・第三角法
  2. 2本目図面の線の種類と太さ
  3. 3本目図面の尺度と図枠(輪郭線・表題欄)(この記事)
  4. 4本目図面の寸法の書き方

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