設計・換算
幾何公差の記号と公差記入枠の読み方
図面の公差記入枠を左から順に、幾何特性・公差値・データム・付加記号と選ぶと、JIS B 0021 の枠の図と読み方の文を出します。幾何特性15種類(平面度・直角度・位置度・同軸度など)の公差域の形とデータムの要否、普通幾何公差(JIS B 0419)の扱いも示す。記号の一覧は別のページにあります。
- JIS B 0021:1998
- JIS B 0022:1984
- JIS B 0023:1996
条件
図面の公差記入枠は、左から特性の記号・公差値・データムの順に並びます(JIS B 0021 の 6.1)。その枠を左から順に下の欄で選ぶと、読み方が出る。記号の形から名前を探すなら、幾何公差の記号の一覧に図があります。
枠のいちばん左の記号です。JIS B 0021 表1 の区分(形状・姿勢・位置・振れ)ごとに並べています。
左から2つ目の区画の数を入れます。
公差記入枠と読み方
公差記入枠・位置度|φt|A|B|C
位置度。公差域は、直径 t の円筒の中。データムは A(第一次)、B(第二次)、C(第三次)の順に当てる。
図は規格票の図を見て描き直したもの。記号と枠の大きさは、規格票の写しの図から測った比です。
読み方の分解
- 公差の種類(表1)
- 位置公差
- データム指示(表1)
- 要・否
- 位置度だけは、データムを付けない指示もあります(表1 の「要・否」)。
- データム
- 第一次 A・第二次 B・第三次 C
- 公差域の形(18.)
- 円筒
- 18.12.2 φ を付けたとき。軸線が、理論的に正確な位置を軸とする直径 t の円筒の中に入る。
- 理論的に正確な寸法(11.)
- 位置・姿勢・輪郭は、長方形の枠で囲んだ寸法で決める
- 普通幾何公差(JIS B 0419)
- JIS B 0419 は適用しない
- JIS B 0419 2.
JIS B 0021:1998(製品の幾何特性仕様(GPS)―幾何公差表示方式―形状,姿勢,位置及び振れの公差表示方式) 表1・6.〜9.・18.12.2 準拠
JIS B 0022:1984(幾何公差のためのデータム) 4.・5.2(データム系と優先順位) 準拠
枠の読み方の決まり
公差記入枠は、左から特性の記号、公差値、データムの順に区画を並べます(6.1)。今の枠は「位置度|φt|A|B|C」で、5区画です。
公差値の前の φ は公差域が円か円筒、Sφ は球であることを表します(6.1・8.3)。Ⓟ・Ⓜ・Ⓛ・Ⓕ・CZ は区画を分けずに公差値の後に書き、Ⓜ・Ⓛ はデータム文字の後にも書けます(13.〜16.・8.5)。
データムの区画は優先順位の順に並べ、順序を入れ替えると公差域の決まり方が変わります(JIS B 0022 の 5.2)。共通データムは、ハイフンで結んだ2字を1つの区画に書く(9.4)。
この数値の確かめ方
幾何特性の記号・名前・データム指示の要否(JIS B 0021:1998 の表1 の19行)、付加記号(表2 の11行)、公差記入枠の区画の順と付加記号の置き場所(6.〜16.)、公差域の形(18. の43行)は、規格票の写しの表と照合して一致しました(2026年11月)。データムの書き方は JIS B 0022:1984 で確かめています。機械部品の通販メーカー・測定機メーカーなどが公開している解説の資料とも見比べ、サイトの記号の誤りは見つかっていません。
ページの更新日
照合の中身を見る
規格票の写しとの照合
- JIS B 0021:1998 表1(幾何特性に用いる記号): 19行の区分・特性の名前・データム指示・参照と、記号14種類の形(同心度と同軸度は同じ記号)
- 表2(付加記号): 11行の名前・記号の文字・参照(Ⓟ・Ⓜ・Ⓛ・Ⓕ・Ⓔ・CZ と、データム指示・理論的に正確な寸法・全周など)
- 6.〜16.(区画の順、φ と Sφ、データムの書き方、Ⓟ・Ⓜ・Ⓛ・Ⓕ・CZ の置き場所)と、図1〜図8・図15・図16・図22〜図36・図41〜図55 の枠の中身
- 18.1〜18.16 の公差域の形43行と φ・Sφ の付く例、4.3 の公差域の七つの形
- JIS B 0022:1984 の表1・4.・5.(データムの記号、データム系と優先順位)と図2〜図14 の枠
表と図は、規格票の写しの表を2回、別々に読み取って突き合わせました。1回目は列ごとの帯、2回目は行ごとの帯で切り抜き、表1 の文字の欄76・表2 の22欄・枠の例の78欄・公差域の文43 をプログラムで比べて、食い違いは0件です。記号の形は、線の向きを言葉で書いた読みと外接の縦横の比で比べています。
記号と枠の図は、こちらで描き直したものです。記号の大きさ・線の太さの数値は写しに無く、写しの表1 と枠の例の図から測った比で描いています。全振れの矢は、表1 の図に合わせて 45° で描きました。
照合に使ったのは、インターネットで公開されている規格票の写しです。表は2回、別々に読み取って比べ、判定はすべて一致しています。写しは日本産業標準調査会(JISC)が公開しているものではなく、JISC の JIS 検索や購入した規格票での照合は、まだ行っていません。
メーカー・業界団体の資料との見比べ(2026年11月1日)
JIS B 0021(幾何公差の記号と公差記入枠): 一致。表2 の参照の箇条番号は、どの資料にも載っておらず比べられない。18. の文で誤記とみられる所も、抜粋の資料に同じ文がある
機械部品の通販メーカーの技術情報(JIS B 0021:1998 からの抜粋)、測定機メーカーの講習資料(公的な産業支援機関が公開。2026年8月作成の PDF)、CAD ソフト会社の解説ブログ(2025年3月。JIS B 0021:1998 を引用)、技術情報メディアの連載(データム記号の回)
見比べた範囲: 表1 の19行(区分・特性・データム指示の要否・参照)、表2 の11行(説明と参照の規格)、18. の公差域と指示の説明の文85、公差記入枠の区画の順・φ と Sφ・CZ と Ⓟ Ⓜ Ⓛ の置き場所、共通データムのハイフンとデータムの優先順位
CAD ソフト会社の解説には、姿勢公差は位置公差より厳しい値にする、という説明があります。規格票の写しにこの文は無く、17.(位置公差は姿勢も抑える)から言える考え方なので、資料側の誤りには数えていません。
見比べたのはメーカーや業界団体などが公開している資料で、発行元の名前は載せていません。発行元がこのサイトを確認・推奨しているものではありません。
自動テストで確かめていること
- 照合した印刷どおりの文字(表1 の19行、表2 の11行と下の参考、4.3 の七つの形、18. の公差域の行の番号43)と、サイトのデータが全欄で同じこと
- 記号14種類の図の外接の縦横の比が、写しの表1 から測った比と合うこと。円周振れ・全振れの矢と傾斜度の斜めの線が 45° であること
- JIS B 0021・B 0022 の図の公差記入枠40枠を、ツールの区画の組み立てで同じ文字に作れること(区画の順、φ と Sφ、Ⓜ・Ⓛ・Ⓟ・Ⓕ・CZ の置き場所、データムの順)
- φ・Sφ を選べる特性が 18. の例と同じこと。普通幾何公差(JIS B 0419)へのリンクの先が、普通公差のツールの特性(平面度・直角度・対称度・円周振れ)と合うこと
規格の値ではないもの・未確認のもの
JIS B 0021 の1998年版が現行であることは、2026年10月17日に日本規格協会の書誌で確かめた記録によります(11月1日は確かめ直せていません)。JIS B 0022・B 0023 は、現行の年版を確かめていません。
表2 の包絡の条件の参照は、1998年当時の JIS B 0024 です。今の JIS B 0024 には包絡の語が無いので、一覧では今の定義のある JIS B 0420-1 の 3.12 を添えています。
φ・Sφ を選べるのは、18. の例で使われている特性だけです。規格は、例に無い組合せを使ってはならないとは書いていません。
本文の規定文(4.3〜17.)と JIS B 0022・B 0023 の規定文は、写しの文字で読んでいて、画像とは照合していません。
自分で確かめるには
規格原文は、日本産業標準調査会(JISC)(新しいタブで開く)の JIS 検索で閲覧できます。このツールの値は、JIS B 0021 の表1・表2 と 6.〜18.で確かめられます。
サイト全体の確かめ方と未確認の項目は、編集方針・データの確認方法にまとめています。
記号を一覧で見る
読み方の解説・よくある質問
公差記入枠は、図面の形体に引出線でつながった横長の枠です。左から特性の記号、公差値、データムの順に読みます。記号は14種類、特性は15種類あり、同心度と同軸度は同じ記号です。記号の一覧は幾何公差の記号の一覧にまとめました。
幾何公差の公差記入枠は、どの順に読む?
いちばん左が特性の記号で、その右が公差値(mm)。データムが要る特性では、さらに右へデータムの文字が続きます(JIS B 0021 の 6.1)。
公差値は公差域の幅か直径で、± は付きません。
図面の公差記入枠の意味を、このページで調べるには?
上の「条件」で、図面の枠を左の区画から順に選びます。いちばん左の記号が「幾何特性」、次の数が「公差値」で、その右の文字がデータムです。φ や Ⓜ のような付加記号も、枠に書いてあるとおりに選ぶ。読み方の文と、公差域の形・データム指示の要否・付加記号の意味が、JIS B 0021 の箇条と一緒に出ます。
枠の上に書く「6×」のような数や、枠の近くに書く「中高を許さない」のような制限(6.2・6.3)は、このツールでは扱っていません。
「結果をコピー」で何が入る?
1行目は、検査で確かめる公差域とデータムの1行です。枠「平面度|0.05」なら「平面度 0.05: 公差域は間隔 0.05 mm の平行二平面の間。データムなし(表1 のデータム指示は否)。」になる。2行目に枠の文字と読み方の文、最後にこのページの URL が入ります。公差域の言い方は、JIS B 0021 の 18. の公差域の形に合わせています。
形状・姿勢・位置・振れの違いは? データムが要るのは?
形状公差(真直度・平面度・真円度・円筒度など)は、形だけを決めるのでデータムを付けません。姿勢公差は向き、位置公差は位置、振れ公差は回したときの振れを決め、どれもデータムが要ります。位置度だけは、データムを付けない指示もある(表1 の「要・否」)。
線の輪郭度と面の輪郭度は、データムを付けなければ形状公差、付ければ姿勢公差か位置公差です。位置公差は姿勢と形状の狂いも、姿勢公差は形状の狂いも一緒に抑えます(17.)。
公差値の前の φ は、どんなときに付ける?
公差域が円か円筒のときに φ、球のときに Sφ を付けます(6.1・8.3)。たとえば穴の位置度に φ を付けると、軸線が直径 t の円筒の中に入ればよいという意味です。φ が無ければ、間隔 t の平行な2平面などの間になる。
このツールで φ を選べるのは、規格の例で φ が使われている真直度・平行度・直角度・傾斜度・位置度・同心度・同軸度で、Sφ は位置度だけです(位置度 Sφ の枠)。
データム A|B|C の並びの意味は? A-B は?
データムの区画は優先順位の順で、左から第一次・第二次・第三次です。部品を当てて固定する順番を表し、アルファベット順ではありません。順序を入れ替えると、同じ部品でも公差域の決まり方が変わります(JIS B 0022 の 5.2)。
「A-B」のようにハイフンで結んだ2字を1つの区画に書くのは共通データムで、2つの形体(たとえば軸の両端の軸受の部分)で決める1つのデータムです(9.4)。
Ⓜ・Ⓛ・Ⓟ・Ⓕ・CZ の意味は?
Ⓜ は最大実体公差方式です。穴が大きめ、軸が細めに仕上がった分だけ、幾何公差を大きくしてよいという指示で、公差値の後かデータム文字の後に付けます(14.、JIS B 0023)。Ⓛ は最小実体公差方式で、置き方は Ⓜ と同じ(15.)。
Ⓟ は突出公差域で、ねじ穴にはめる相手の部品の長さなど、形体の外へ突き出した部分に公差域をとります(13.)。Ⓕ は薄板やゴムのように拘束を外すと形が変わる部品の、拘束しない状態での公差(16.)。CZ は離れた複数の形体に1つの公差域をまとめて当てる指示で、丸で囲みません(8.5)。
枠で囲んだ寸法(理論的に正確な寸法)とは?
位置度・輪郭度・傾斜度で、正しい位置・姿勢・輪郭を決める寸法です。公差を付けずに長方形の枠で囲みます(11.)。ばらつきは、その寸法ではなく公差記入枠の幾何公差で決まる。
同心度と同軸度の違いは?
記号はどちらも二重丸で、表1 の参照も同じ 18.13 です。同心度(中心点に対して)は各断面の中心点が直径 t の円の中に、同軸度(軸線に対して)は軸線が直径 t の円筒の中に入ることを求めます。
普通幾何公差(JIS B 0419)との関係は?
図面に個別の枠が無い形体には、「JIS B 0419-mK」のような普通幾何公差が当たります。表の値があるのは真直度・平面度・直角度・対称度・円周振れで、普通公差のツールの幾何公差で見られます。真円度・平行度は、寸法公差などから値が決まる(決まり方)。
円筒度・同軸度は JIS B 0419 が規定しない特性で、線の輪郭度・面の輪郭度・傾斜度・位置度・全振れには適用しません。同心度は JIS B 0419 に記載がありません。