設計・換算
はめあい公差(JIS B 0401)
図示サイズと穴・軸の公差クラス(H7・g6 など)から、JIS B 0401 の上・下の許容差と最大・最小の寸法を求めます。穴と軸を組み合わせると、すきま・しめしろと、すきまばめ・中間ばめ・しまりばめのどれになるかも計算します。500 mm 以下の穴34・軸40クラスを収録。
- JIS B 0401-1:2016
- JIS B 0401-2:2016
条件
ボタンは、相手のクラスと組むときに JIS がまず選ぶよう勧めるクラス(JIS B 0401-1 図12・図13 の枠内)。
結果
φ20 H7/g6 のはめあい
すきまばめすきま0.007〜0.041mm
穴 H7(表6、18 を超え 30 以下の区分)
- 上の許容差 ES
- +0.021mm
- 下の許容差 EI
- 0mm
- 最大(上の許容サイズ)
- 20.021mm
- 最小(下の許容サイズ)
- 20.000mm
- 基本サイズ公差 IT7
- 0.021mm
軸 g6(表21、18 を超え 30 以下の区分)
- 上の許容差 es
- −0.007mm
- 下の許容差 ei
- −0.020mm
- 最大(上の許容サイズ)
- 19.993mm
- 最小(下の許容サイズ)
- 19.980mm
- 基本サイズ公差 IT6
- 0.013mm
JIS B 0401-2:2016(製品の幾何特性仕様(GPS)―長さに関わるサイズ公差のISOコード方式―第2部:穴及び軸の許容差並びに基本サイズ公差クラスの表) 表6 穴に対する許容差(H)・表21 軸に対する許容差(g) 準拠
JIS B 0401-1:2016(製品の幾何特性仕様(GPS)―長さに関わるサイズ公差のISOコード方式―第1部:サイズ公差,サイズ差及びはめあいの基礎) 3.3.3・附属書B B.2 の定義と式で計算
計算ロジック
上・下の許容差は、JIS B 0401-1 の表1(基本サイズ公差 IT)と表2〜表5(基礎となる許容差・Δ値)から計算しています。計算した値は、JIS B 0401-2 の表と同じです。
穴 H7: IT7 = 21 μm(表1、18 を超え 30 以下)
EI = 0 μm(H は 0)
ES = EI + IT = 0 + 21 = +21 μm
軸 g6: IT6 = 13 μm(表1、18 を超え 30 以下)
es = −7 μm(表4 g)
ei = es − IT = −7 − 13 = −20 μm
すきまばめ(附属書B B.2 の式)
穴の最小 − 軸の最大 = EI − es = 0 − (−7) = +7 μm
穴の最大 − 軸の最小 = ES − ei = +21 − (−20) = +41 μm
穴の最小 − 軸の最大 が 0 以上なので、すきまばめ。最小すきま 0.007 mm、最大すきま 0.041 mm です。
はめあいの種類は JIS B 0401-1 の 3.3.3.1〜3.3.3.3 の定義どおりに判定します。穴の最小が軸の最大以上ならすきまばめ、穴の最大が軸の最小以下ならしまりばめ、どちらでもなければ中間ばめです。
- IT
- 基本サイズ公差(表1)
- ES・EI
- 穴の上・下の許容差
- es・ei
- 軸の上・下の許容差
- Δ
- 表3 の Δ値(IT8 以下の K・M・N と、IT7 以下の P・R・S に足す)
表示は mm の小数3桁で、JS・js の 0.5 μm の端数が出るときだけ4桁にしています。
この数値の確かめ方
基本サイズ公差と基礎となる許容差(JIS B 0401-1:2016 表1〜表5 の557値)は、規格票の写しの表を2回読み取って照合し、一致しました。そこから計算した上・下の許容差(穴34・軸40クラスの2,056値)も、JIS B 0401-2:2016 の表と全数が一致しています(2026年10月)。三木プーリ・オーエスジーの公開資料とも見比べ、サイトの値の誤りは見つかっていません。
照合の中身を見る
規格票の写しとの照合
- JIS B 0401-1:2016 表1: 基本サイズ公差 IT5〜IT11 の91値(500 mm 以下の13区分)
- JIS B 0401-1:2016 表2・表3: 穴の基礎となる許容差 B〜S と Δ値の259値
- JIS B 0401-1:2016 表4・表5: 軸の基礎となる許容差 b〜s の207値
- JIS B 0401-2:2016 表2〜表12・表17〜表28: 穴34・軸40クラスの上・下の許容差2,056値(第1部の値から計算した値と全数を比べた)
第1部の表は拡大の仕方を変えて2回読み取り、プログラムで突き合わせました。食い違いは0件です。第2部の表は、計算した値と突き合わせるために別の担当が1回読みました(画面の値の元は、2回読んだ第1部の表です)。250 mm を超え 315 mm 以下の M6 は、表2 の注b) のとおり上の許容差を −9 μm にしています(第2部 表9 の印刷も同じ)。
キー溝(JIS B 1301)の付表の H9・D10・N9・Js9・P9・h9・h11 とも、416欄がすべて一致しました。
照合に使ったのは、インターネットで公開されている規格票の写しです。日本産業標準調査会(JISC)が公開しているものではなく、JISC の JIS 検索や購入した規格票での照合は、まだ行っていません。
メーカー・業界団体の資料との見比べ(2026年10月11日)
JIS B 0401(はめあい): 一致(三木プーリの J7 の 3〜6 mm は資料側の誤り。オーエスジーの JS7・js7 で IT が奇数の8欄は、旧版の書き方のため比べていない)
三木プーリ「はめあい公差一覧表(JIS B 0401 抜粋)」(2016年版の値)、オーエスジー「はめあいの寸法許容差(JIS B0401抜粋)」(旧版の用語)
見比べた範囲: 三木プーリは 3〜500 mm の24行・618欄、オーエスジーは 0〜250 mm の10区分・392欄(穴・軸の上・下の許容差)
食い違った値は、三木プーリの表の J7 の 3〜6 mm(下の許容差が無い)で、資料側の誤りでした。サイトの値は直していません。
各社が公開している資料と見比べたもので、各社がこのサイトを確認・推奨しているものではありません。
自動テストで確かめていること
第2部の表の読みを自動テストに持ち、第1部の値から計算した上・下の許容差と2,056値すべてが一致することを確かめています。本文の例(90 F7・28 P9・20 K7・φ36 H7/n6 など)も既知の値としてテストしている。キー溝(JIS B 1301)の付表の416欄とも、毎回突き合わせます。
規格の値ではないもの・未確認のもの
すきま・しめしろと、はめあいの種類(すきまばめ・中間ばめ・しまりばめ)は、JIS B 0401-1 の 3.3.3 の定義と附属書B B.2 の式で計算した値です。図12 の列とは、3 mm 以下の H7/p6・H6/n5 で違います(図12 ではしまりばめの列、定義では中間ばめ)。
条件の欄のボタンは、図12・図13 で枠の付いた組です(本文 5.3.4 は、はめあいをまずこの中から選ぶよう勧めています)。枠はあるが太字でない4組(H10/d9・H10/h9・E9/h8・H9/h8)も、この基準(枠)に従って入れました。太字にしていない理由は規格に書かれておらず、未確認です。
生成AI の使い方
規格票の写しの読み取り・照合と、プログラムの作成は生成AI(Claude)で行いました。表の読み取りは2回、別々に行って比べ、判定はすべて一致しています。公開資料との見比べも生成AI で行い、食い違った値は資料を開き直して確かめました。
自分で確かめるには
規格原文は、日本産業標準調査会(JISC)(新しいタブで開く)の JIS 検索で閲覧できます。このツールの値は、JIS B 0401-1 の表1〜表5 と、JIS B 0401-2 の表2〜表12・表17〜表28で確かめられます。
サイト全体の確かめ方と未確認の項目は、編集方針・データの確認方法にまとめています。
印刷用 早見表(A4・QR コード付き)
解説・よくある質問
すきま・しめしろはどう読む?
穴の径から軸の径を引いた値がプラスならすきま、マイナスならその大きさがしめしろです。最小すきまは「穴の最小 − 軸の最大」、最大すきまは「穴の最大 − 軸の最小」で、許容差で書くと EI − es と ES − ei(JIS B 0401-1 附属書B B.2)。
例えば φ36 H7/n6 は、最大すきま 0.008 mm・最大しめしろ 0.033 mm の中間ばめです(φ36 H7/n6 で計算)。組み立てたときに、すきまになるかしめしろになるかは、実物の寸法で決まります。
すきまばめ・中間ばめ・しまりばめのどれになるかは、どう決める?
はめあいの種類は JIS B 0401-1 の 3.3.3.1〜3.3.3.3 の定義どおりに判定します(判定の式は「計算ロジック」)。
JIS B 0401-1 の図12 は H7/p6 を「しまりばめ」の列に置いていますが、3 mm 以下では最大すきま 0.004 mm・最大しめしろ 0.012 mm の中間ばめになります(φ3 H7/p6 で計算)。H6/n5 も 3 mm 以下は中間ばめ(最大すきま 0.002 mm・最大しめしろ 0.008 mm)。3 mm を超え 6 mm 以下の H7/p6 は、穴の最大と軸の最小がちょうど同じで(差 0 mm)、定義の「以下」に当たるのでしまりばめです。
古い資料の JS7 が ±0.010 になっているのは?
2016年版の JIS B 0401-2 は、JS・js を ±IT/2 のまま 0.5 μm まで書いています。18 mm を超え 30 mm 以下の JS7 は IT7 = 0.021 mm なので +0.0105/−0.0105 mm(表7。φ20 JS7 で計算)。
旧版の書き方の資料には、この 0.5 μm を切り捨てた ±0.010 mm が載っているものがあります。このツールの値は2016年版の表と同じです。旧版の丸め方の決まりそのものは、旧版の規格票では確かめていません。
古い資料の「基準寸法」は?
旧版の「基準寸法」は、2016年版の JIS B 0401 では「図示サイズ」です。このツールは2016年版の言い方で書いています。
記号は、穴の上・下の許容差が ES・EI、軸が es・ei、基本サイズ公差(公差の幅)が IT です。H7 の「H」は基礎となる許容差の記号で、「7」が基本サイズ公差の等級(IT7)。
500 mm を超える寸法や、T7・x6 などのクラスは?
収録は図示サイズ 500 mm 以下で、条件の欄で選べる穴 34・軸 40 クラスです。500 mm を超える寸法と、ほかのクラスは値を出しません。ほかのクラスを指定したときは、同じ文字の表があればその番号だけを出す。
B11・b9・b11・N9 は 1 mm 以下の図示サイズには使いません(JIS B 0401-1 の表2〜表4 の注)。1 mm を超えれば、3 mm 以下の行の値を出します。