設計・換算
溶接記号の読み方・書き方
溶接の種類・矢の側か反対側か・寸法・補助記号を選ぶと、JIS Z 3021 の溶接記号の図と読み方の文を出します。「図面の記号を読む」では、記号の形・基線の上か下か・左右の数字を選ぶと、意味と根拠の箇条が出る。すみ肉の脚長とのど厚の換算、断続溶接 L(n)−P の範囲も計算。記号の一覧は別のページにあります。
- JIS Z 3021:2016
条件
断面の寸法(記号の左・中・外)
長さ(記号の右)
断続溶接は L・n・P の3つを入れると、L(n)−P の形で書きます。P は隣り合う溶接の中心の間隔です。
補助記号(表3)
記号と読み方
溶接記号・すみ肉溶接
矢の側にすみ肉溶接。脚長 6 mm。長さの指定なし(継手の全長)。
図は規格票の図を見て描き直したもの。記号の大きさの数値は規格にない。
読み方の分解
- 記号を置く所
- 基線の下
- 溶接の種類
- すみ肉溶接
- 記号の左(断面の寸法)
- 6
- 記号の右(長さ)
- —
矢の側(矢が指している面)を溶接する
表1 No.10
脚長 6 mm(数字だけなら脚長)
書かない=継手の全長(5.3.1)
計算(規格に式は無く、定義から出した値)
- のど厚 a(等脚・平らのとき)
- 4.24mm
a = z/√2 = 6/√2
JIS Z 3021:2016(溶接記号) 表1 No.10 すみ肉溶接 準拠
JIS Z 3021:2016(溶接記号) 表5 No.2.1 すみ肉 準拠
計算ロジック
記号の位置と寸法の書き方は、JIS Z 3021 の5章・6章と表5 によります。基線の下が矢の側、上が反対側で、寸法は記号と同じ側に書く。左が断面の寸法、右が長さです。
左「6」・記号「すみ肉溶接」・右「—」
a = z/√2 = 6/√2 = 4.24 mm
- z
- 脚長
- a
- 公称のど厚
- L
- 1つの溶接の長さ
- n
- 溶接の個数
- P
- 隣り合う溶接の中心の間隔(ピッチ)
a = z/√2 は、規格に書かれた式ではありません。3.16 の公称のど厚の定義(すみ肉の断面に入る二等辺三角形の高さ)から出した値で、平らに仕上げた等脚のときだけ成り立ちます。z = 10 なら a = 7.07 で、表5 No.2.1 の例(z 10・a 7)と合います。凸形・凹形・止端仕上げや不等脚では計算しません。
断続溶接の範囲と間隔は、5.3.2.1 の「P は隣り合う溶接の中心の間隔」から出したものです。
この数値の確かめ方
溶接記号の形と名前(JIS Z 3021:2016 の表1 の基本記号17種類、表2 の両側溶接4つ、表3 の補助記号)と、寸法の書き方(表5 の28行と表6〜表9)は、規格票の写しの表と照合して一致しました(2026年10月)。記号の位置と寸法の左右の決まり(4.5.2〜4.8・5章・6章)も写しの文で確かめています。鉄骨の製作工場(メーカー)と規格の早見表のサイトが公開している解説の資料とも見比べ、サイトの記号の誤りは見つかっていません。
ページの更新日
照合の中身を見る
規格票の写しとの照合
- JIS Z 3021:2016 表1(基本記号): 17種類の名前と形(「規定しない」の5行は載せていない)
- 表2(両側溶接の基本記号の組合せ): X形・K形・H形・K形開先溶接及びすみ肉溶接の4つ
- 表3(補助記号): No.1〜17 と 7a・7b の名前・形・文字と注a)〜f)(No.13 は「規定しない」)
- 表5(溶接寸法の記入例)の28行の書式と記載例、表6〜表9(ルート間隔・開先角度・開先深さと溶接深さ・側壁角)、附属書B(参考)の継手の種類
表と図は2人が切り抜き方を変えて別々に読み、名前103欄・欄の文字59欄・表5 の書式10項目・記号の形の特徴39記号をプログラムで突き合わせました。食い違いは0件です。記号の形は、線の向き(縦線が左か、円が基線のどこにあるかなど)を言葉で書いた読みと、外接の縦横の比で比べています。
記号の図は、写しの図の比に合わせてこちらで描き直したものです。反対側に置く記号は基線について上下に裏返し、縦線は上でも下でも左にしています(表A.1・表A.2・図5 で確かめた決まり)。
照合に使ったのは、インターネットで公開されている規格票の写しです。表は2回、別々に読み取って比べ、判定はすべて一致しています。写しは日本産業標準調査会(JISC)が公開しているものではなく、JISC の JIS 検索や購入した規格票での照合は、まだ行っていません。
メーカー・業界団体の資料との見比べ(2026年10月31日)
JIS Z 3021(溶接記号): 記号の名前・形・矢の側の決まり・寸法の左右は一致。断続溶接の書き方は、2つの資料とも個数 n が無い「長さ(ピッチ)」「長さ-ピッチ」で、2016年版の L(n)−P と違う(古い書き方とみるが、出どころを確かめていないので誤りには数えない)
建築鉄骨の製作工場の解説ページ(2026年9月。JIS Z 3021:2016 と明記)と、規格の早見表を出す情報サイトのページ(2026年7月更新。現行の 2016年版と書く)
見比べた範囲: 基本記号15種類(I形・V形・レ形・U形・J形・X形・K形・H形・すみ肉・V形フレア・レ形フレア・プラグとスロット・スポット・シーム・肉盛)の名前と形、補助記号15(全周・現場・平ら・凸形・凹形・止端仕上げ・C・G・M・P・取り外さない裏当て M・取り外す裏当て MR・裏溶接・裏当て溶接・裏波溶接)、矢の側と基線の上下、寸法の左右の位置、のど厚の a、ルート間隔と開先角度の位置、尾
2つの資料とも、断続溶接を個数 n の無い書き方(長さとピッチだけ)で書いていました。2016年版の書き方(L(n)−P)ではありませんが、どの版や慣用によるかは確かめていないので、資料側の誤りには数えていません。
見比べたのはメーカーや業界団体などが公開している資料で、発行元の名前は載せていません。発行元がこのサイトを確認・推奨しているものではありません。
自動テストで確かめていること
- 照合した印刷どおりの文字(表1〜表3 の名前、表3 の文字、表5 の28行の書式・記載例・図示の条件、表6〜表9、附属書B の継手の名前)と、サイトのデータが全欄で同じこと
- 記号の図の外接の縦横が、写しの図から測った幅・高さと合うこと(17種類と表2・表3 の記号)
- 反対側の記号が上下の裏返し(180° 回した形ではない)で、縦線が左に残ること。寸法の文字が、左=断面・右=長さ・中=ルート間隔・外=開先角度の位置に出ること
- のど厚 a = z/√2 が z = 10 で 7.07 になり、表5 No.2.1 の例(z 10・a 7)と合うこと。断続溶接の範囲 P(n − 1) + L と間隔 P − L の既知の値と、L が P より長い入力を誤りにすること
規格の値ではないもの・未確認のもの
のど厚 a = z/√2 と、断続溶接の範囲・間隔は、規格に書かれた式ではありません。のど厚は 3.16 の定義から、範囲と間隔は 5.3.2.1 の「P は隣り合う溶接の中心の間隔」から出した値で、のど厚は平らに仕上げた等脚のときだけ成り立ちます。
記号の大きさ・線の太さ・矢の長さの数値は規格にありません。図は写しの図の比に合わせて描き直したもので、規格票の図の写しではありません。
2016年版が現行であることは、2026年10月17日に日本規格協会の書誌で確かめた記録によります(10月31日は確かめ直せていません)。対応する ISO 2553 は 2019年版が出ていて、JIS がそれに合わせて改正されたかは未確認です。
表5 No.2.6 の千鳥断続(すみ肉)の2つ目の記号(JIS 独自の記号とみた形)、プロジェクション溶接、非破壊試験の記号(附属書JA)は載せていません。附属書B の角度の範囲も、継手の種類どうしで範囲が重なるので載せていません。
自分で確かめるには
規格原文は、日本産業標準調査会(JISC)(新しいタブで開く)の JIS 検索で閲覧できます。このツールの値は、JIS Z 3021 の表1・表2・表3・表5〜表9 と、4.7・5章・6章で確かめられます。
サイト全体の確かめ方と未確認の項目は、編集方針・データの確認方法にまとめています。
記号を一覧で見る
読み方の解説・よくある質問
溶接記号は、溶接する所を指す矢と、水平な基線、基線に付けた基本記号でできています。寸法と補助記号は基本記号のまわりに書き、必要なときだけ基線の、矢と反対側の端(このツールの図では右端)に尾を付ける。記号の名前と形は溶接記号の一覧にまとめました。
矢の側と反対側は、どう見分ける?
基本記号が基線の下にあれば矢の側、上にあれば反対側を溶接します。矢の側とは、継手のうち矢が当たっている側の面のこと。両側を溶接するときは、上と下の両方に書きます(4.7.2.1)。
反対側に書くときは、記号を基線について上下に裏返します。すみ肉やレ形の縦線は、上でも下でも左のまま。180° 回した形にはしません。
抵抗スポット溶接と抵抗シーム溶接は、重ねた板の合わせ面を溶接するので、記号を基線の中央に置きます。この2つは矢の側・反対側に関係しません。
図面の溶接記号の読み方・見方は?
記号の形で溶接の種類を、基線の下か上かで溶接する側を読みます。下なら矢の側、上なら反対側です(4.7.2.1)。基本記号の左の数字は断面の寸法、右は長さで、右に何も無ければ継手の全長を溶接します(5.2・5.3.1)。
このページでは、「使い方」で「図面の記号を読む」を選びます。図面に見えている順に、記号の形、基線の上か下か、左右の数字、補助記号(交点の円・旗、表面形状の記号など)を選ぶと、意味の文が出る。基線の下にあるから矢の側、のように、なぜそう読むかも JIS Z 3021 の箇条(この例は 4.7.2.1)と一緒に並べます。
選んだ記号は、結果の下のリンクから「溶接を指定する」の画面にそのまま移せます。千鳥断続・プロジェクション溶接、尾に書いた指示、基線に沿って破線を引いた書き方は扱っていません。
「結果をコピー」で何が入る?
1行目に作業の指示に貼れる短い1行、2行目に読み方の文、最後にこのページの URL が入ります。脚長 6 mm のすみ肉を、長さ 50 mm・3 か所・ピッチ 150 mm で現場溶接するなら、1行目は「すみ肉溶接・矢の側・脚長 6 mm・断続(長さ 50 mm・3 か所・ピッチ 150 mm)・現場溶接」。語は読み方の文と同じものを使っています。
寸法は記号のどこに書く?
寸法は、基線の基本記号と同じ側に書きます。左が断面の寸法(溶接深さ・脚長・のど厚・径・幅)、右が長さ。右に何も書かなければ、継手の全長を溶接します(5.2・5.3.1)。
断続溶接は右に「L(n)−P」と書く。L は1つの溶接の長さ、n は個数、P は隣り合う溶接の中心の間隔です。たとえば「100(4)−200」は、長さ 100 mm の溶接を中心間隔 200 mm で4か所。最初の溶接の始めから最後の終わりまでは 700 mm になります。
脚長とのど厚は、どう見分ける?
すみ肉の寸法が数字だけなら脚長、数字の前に a が付いていればのど厚です(表5 No.2.1 の「10」と「a 7」)。脚長が違う不等脚は、小さい方を先に「6×10」と書きます。どちらの板の脚が小さいかは、尾か詳細図で示す。
平らに仕上げた等脚のすみ肉なら、のど厚は脚長の 1/√2(約 0.707 倍)です。脚長 10 mm ならのど厚は 7.07 mm で、表5 の例の「z=10 mm,a=7 mm」と合います。規格に書かれた式ではなく、のど厚の定義から出した値です。凸形・凹形や止端仕上げのときは成り立ちません。
全周溶接と現場溶接の記号は?
矢と基線の交点に小さな円があれば全周溶接で、継手のまわりを一周、続けて溶接します。始めと終わりの位置が違う溶接や、途中で種類・寸法が変わる溶接には使いません。中空断面やスロット溶接の周溶接にも使わない(4.5.2)。
交点から上へ立てた旗は現場溶接です。旗は基線の上に、右向きで描く。全周の円と一緒にも付けられます。
開先角度とルート間隔は、どこに書く?
開先角度は基本記号の外(V の開いた側の先)に、ルート間隔 b は記号の中に書きます。ルート間隔は基線の片側だけで、両側の記号でも1か所です(6.2・6.3)。ルート半径とルート面の高さは、尾に書く。
溶接深さは左に括弧付きで「(s)」、開先深さも書くときは「h(s)」の形です。左に何も書かなければ完全溶込みを表します(5.4.1・6.5)。
矢が途中で折れ曲がっているのは、なぜ?
レ形・J形のように片方の板だけ開先を取る突合せ溶接で、どちらの板を削るかを示すためです(4.6.3)。折れた後の矢の先が向かう板が、開先を取る板。どちらの板でもよいときや、図から明らかなときは折りません。
このツールの図は、矢を折らずに描いています。
基線の端の「<」(尾)には何を書く?
尾は、基線の矢と反対側の端に付けます。書くのは、溶接方法・溶接材料・溶接姿勢・品質の等級など、記号では表せない指示です。いくつか並べるときは斜線「/」で区切る。溶接施工要領書などの文書を指すときは、先を閉じた尾に文書の記号を入れます(4.8)。
書くことが無ければ、尾は付けません。
「6△50-100」「6△40(150)」のような書き方は?
どちらも個数 n が入っていません。2016年版の JIS は「L(n)−P」で、長さと中心間隔のほかに個数を書きます(表5 No.2.4)。個数の無い書き方の図面では、括弧の中や「-」の後ろが中心間隔なのか、溶接の無い間隔なのかを、図面の注記で確かめてください。
千鳥断続やプロジェクション溶接の記号は、このページで描ける?
このツールでは描けません。選べるのは、表1 の基本記号と表2 の両側溶接、表3 の補助記号のうち現場でよく使うものです。千鳥断続は、上下の記号と L(n)−P を少しずらして書きます(表5 No.1.5・2.6)。溶接記号の一覧のすみ肉溶接の行に、No.2.6 の1つ目の記号の図を載せました。No.2.6 の2つ目の記号(JIS 独自の記号とみた形)、プロジェクション溶接、非破壊試験の記号(附属書JA)は載せていません。
記号の大きさや線の太さは、規格で決まっている?
記号の大きさ・線の太さ・矢の長さの数値は、規格にありません。矢の角度は 45° でも 60° でもよく、矢じりは塗りつぶしでも開いた形でもよい。ただし1組の図面の中ではそろえます。このページの記号は、規格票の図の縦横の比に合わせて描き直しました。