設計・換算
表面粗さ(表面性状)の記号と読み方
Ra・Rz と値、除去加工、筋目を選ぶと、JIS B 0031 の表面粗さ(面粗度)の記号の図と読み方の文、測るときのカットオフ値と評価長さ(JIS B 0633)を出します。「図面の記号を読む」では、旧い図面の N7・Ry・十点平均粗さの Rz を今の書き方に読み替え、▽ は公開資料の Ra の帯を、「6.3a」は添え字の意味を示す。数列の一覧は別のページです。
- JIS B 0031:2003
- JIS B 0633:2001
- JIS B 0601:2013
条件
JIS B 0031 附属書1(参考)の標準数列から選びます。数が大きいほど凹凸の大きい粗い面で、小さいほど細かい面。「優先値」は、表で太字の特に優先して使う値です。
刃物の動きでできる筋の向きです。頂点の右(位置 d)に書く。
記号の水平線の上(位置 c)に書きます。めっきなどの表面処理もここに書く。
記号と読み方
表面性状の図示記号・Ra 3.2
除去加工をする面。Ra の上限 3.2 µm(16 %ルール)。
図は規格票の図を見て描き直したもの(記号の寸法は JIS B 0031 附属書A 表1)。
読み方の分解
- 図示記号
- 除去加工をする
- パラメータ
- Ra 算術平均粗さ
- 値
- 3.2µm
- 判定のルール
- 16 %ルール
- 通過帯域・評価長さ
- 書いていない(標準)
文書で書くときは MRR(図4 b))
U・L を付けない値は上限値
測った値のうち上限を超えるものが 16 % 以下なら合格(max を付けないときの標準)
評価長さは基準長さの5倍(ln=5×lr)
測るときの基準長さと評価長さ(JIS B 0633 表1)
- 基準長さ lr(カットオフ値 λc)
- 2.5mm
- 評価長さ ln
- 12.5mm
- 旧い粗さ番号
- N8
表1 の「2<Ra≦10」の行
ln=5×lr
JIS B 0031 附属書I(参考)表I.2 の対応
JIS B 0031:2003(製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状の図示方法) 図1〜図6・附属書A 表1(記号の形と寸法)・附属書1(参考)表1 準拠
JIS B 0633:2001(製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状:輪郭曲線方式―表面性状評価の方式及び手順) 7.2 表1(基準長さ) 準拠
JIS B 0031:2003(製品の幾何特性仕様(GPS)―表面性状の図示方法) 附属書I(参考)表I.2(粗さ番号) 準拠
計算ロジック
基準長さは、JIS B 0633 の表1から「下限<Ra≦上限」に入る行を選びます。上限ちょうどの値はその行に入る。評価長さは、通過帯域や評価長さを記号に書かないときの標準で、基準長さの5倍です(JIS B 0031 附属書F)。表1・表2 は非周期的な輪郭曲線(研削加工面の例)の表で、周期的な粗さ曲線は RSm の範囲で選ぶ表3 を使います。
2 < 3.2 ≦ 10 → lr = 2.5 mm
ln = 5 × lr = 5 × 2.5 = 12.5 mm
- lr
- 粗さ曲線の基準長さ(カットオフ値 λc と同じ値)
- ln
- 粗さ曲線の評価長さ
- Ra
- 算術平均粗さ(µm)
粗さの見当が付かないときは、目視や標準片で見当を付けて行を選び、測ります。測った値がその行の範囲から外れたら、基準長さを変えて測り直す(JIS B 0633 7.2.1)。
この数値の確かめ方
表面性状の図示記号の形と寸法(JIS B 0031:2003 の図1〜図6・附属書A 表1・表2)、Ra・Rz の標準数列(附属書1)、基準長さと評価長さの表(JIS B 0633:2001 の表1〜表3)、旧い記号の読み替え(JIS B 0031 附属書I、JIS B 0601:2013 附属書C)は、規格票の写しの表と照合して一致しました(2026年11月)。県の産業技術の公的機関が公開している解説の資料とも見比べ、サイトの値の誤りは見つかっていません。
ページの更新日
照合の中身を見る
規格票の写しとの照合
- JIS B 0031:2003 附属書1(参考)表1・表2: Ra の47値(太字16)と Rz の49値(太字17)の印刷どおりの文字と太字
- JIS B 0633:2001 7.2 の表1〜表3: 範囲・基準長さ・評価長さの45欄と、下限・上限・括弧・不等号の向き
- JIS B 0031 附属書A(規定)表1 の28欄(h・d′・H1・H2)、図示記号の形(図1〜図5・附属書A 図1)、位置 a〜e(図6・附属書A 図3)、筋目の記号7つ(表2・附属書A 図2)、値を書かずに記号だけで使うときの意味(附属書B(参考)表B.1・表B.3)
- JIS B 0031 附属書I(参考)表I.1・表I.2(旧い指示の書き方と粗さ番号 N1〜N12)と、JIS B 0601:2013 附属書C 表C.2・表JA.1・表JB.1・表JB.2(1994年版と2013年版の記号、RzJIS、Ra75)
表と図は、規格票の写しの表を2回、別々に読み取って突き合わせました。1回目は列ごとの縦長の帯、2回目は行ごとの帯で切り抜き、欄632・記号26・位置10・条文63 をプログラムで比べて、食い違いは0件です。記号の形は、線の向きを言葉で書いた読みと外接の縦横の比(26記号で差 5% 以内)で比べています。
記号の図は、附属書A 表1 の寸法(h=5 の列)と 60° の斜線から、こちらで描き直したものです。円の大きさは規格に数値が無く、附属書A 図1 から測った半径 H1/3 で描いています。
照合に使ったのは、インターネットで公開されている規格票の写しです。表は2回、別々に読み取って比べ、判定はすべて一致しています。写しは日本産業標準調査会(JISC)が公開しているものではなく、JISC の JIS 検索や購入した規格票での照合は、まだ行っていません。
メーカー・業界団体の資料との見比べ(2026年11月1日)
JIS B 0633(カットオフ値・評価長さ)・JIS B 0031 附属書I(粗さ番号): 基準長さ・評価長さ・範囲の境の30値とカットオフ比5値は一致。粗さ番号と Ra(µm)の24値も一致。公的機関のページは Rz の上限を「未満」と書く(規格票の写しは ≦ で上限を含む。資料側の誤り)。粗さ番号の 0.4 µm の µin は百科事典サイトが 16、規格票の写しは 26 と印刷(換算では 15.7。サイトには µin を載せていない)
県の産業技術の公的機関の解説ページ(2024年9月掲載。JIS B 0633:2001 と明記)と、百科事典サイトの換算表(利用者が編集。出典の記載なし)
見比べた範囲: Ra・Rz の範囲から選ぶ基準長さ(カットオフ値)5段と評価長さ、カットオフ比 λc/λs(JIS B 0651 表1。サイトには載せていない)、粗さ番号 N1〜N12 と Ra(µm・µin)
旧い仕上げ記号(▽・〜)と Ra などの対応(今の JIS には無い。旧 JIS の参考表の抜粋): ▽ が1〜4つの記号の Ra の帯の上の端は5つの資料で同じ。▽▽▽▽ の Ra と ▽ の最大高さ・十点平均の下の端、最大高さ・十点平均の間の値、波形の記号の扱いは資料で違い、表面粗さの一覧に資料ごとに並べた(どれも誤りとは決めていない。旧 JIS の規格原文とは未照合で、値はメインの資料の表)
切削工具メーカーの技術資料(英語。同じ 1994年版の表)、金型部品メーカーのカタログ(2001年版の名前で書き直した表)、ドリル・エンドミルのメーカーの技術情報と砥石・研削の技術情報サイト(どちらも版の記載なし)
見比べた範囲: ▽ を1〜4つ並べた記号と波形の記号の5つの、Ra・最大高さ・十点平均粗さの値(資料が並べた行の全部)と、列の名前・拠る規格の記載
公的機関のページは、Rz の範囲の上限を「未満」と書いていました。規格票の写しは「≦」で上限を含み、Rz がちょうど 0.1・0.5・10・50・200 のときに行が変わるので、資料側の誤りに数えています。粗さ番号の表は、出典の記載が無い百科事典サイトの表と見比べました。
見比べたのはメーカーや業界団体などが公開している資料で、発行元の名前は載せていません。発行元がこのサイトを確認・推奨しているものではありません。
自動テストで確かめていること
- 照合した印刷どおりの文字(附属書1 の Ra・Rz の数列と太字、B 0633 の表1〜表3、附属書A 表1、表2 の筋目の記号、表I.1 の今の書き方、表I.2 の粗さ番号、B 0601 の表C.2・表JA.1・表JB.1・表JB.2)と、サイトのデータが全欄で同じこと
- 数列の全96値を B 0633 の表1・表2 に当てた基準長さが、照合の記録の計算と同じこと。上限ちょうどの値(Ra 0.02・0.1・2・10・80、Rz 0.1・0.5・10・50・200)がその行に入り、Rz 0.025・Ra 100 以上・Rz 250 以上が表の範囲外になること
- 評価長さ ln=5×lr が、表1〜表3 の全15行の評価長さと同じこと
- 記号の線と円の座標が、附属書A 表1 の7列で照合の記録の計算と同じこと。パラメータ記号と値の間が2字分空き、max が記号の直後に続くこと
規格の値ではないもの・未確認のもの
JIS B 0031 は 2003年版に追補1(2022年)が出ていて、追補1 の中身は確かめていません。JIS B 0601・B 0633 が今も写しと同じ年版かも、2026年11月1日は規格の書誌を見られず、確かめていません。
附属書1 の標準数列は参考の附属書で、規定ではありません。Ra の表で 10.0 の位置は空欄で、印刷どおりにしています。附属書1 の RSm の数列は、単位の印刷(µm)が値の大きさと合わないので載せていません。
図示記号の円の大きさと、筋目の記号 X・M・C・R・P の字形は、規格に数値が無く、写しの図から測った目安です。書き方の決まり(ダブルスペース・max・U と L)と 16 %ルール・最大値ルールは写しの文字で読み、画像とは照合していません。
▽ を並べた旧い仕上げ記号は今の JIS に無く、写しのどの規格票にも Ra との対応がありません。一覧には、旧 JIS の参考表を写した公開資料5つの値を資料ごとに並べています(旧 JIS の原本とは照らし合わせていない)。Ra と Rz の換算式・換算表は規格に無いので載せていません。
自分で確かめるには
規格原文は、日本産業標準調査会(JISC)(新しいタブで開く)の JIS 検索で閲覧できます。このツールの値は、JIS B 0031 の附属書1・附属書A 表1・表2 と、JIS B 0633 の表1・表2で確かめられます。
サイト全体の確かめ方と未確認の項目は、編集方針・データの確認方法にまとめています。
記号を一覧で見る
読み方の解説・よくある質問
表面性状の図示記号は、面に頂点を当てた V 字の記号に、パラメータと値(例: Ra 3.2)を書き足したものです。値は µm で、何も付けなければ上限値。記号の形・筋目の記号・標準数列・カットオフ値の表は、表面粗さの一覧にまとめました。
表面粗さ(面粗度)の記号は、どこに何が書いてある?
パラメータと値は、長い斜線から伸ばした水平線のすぐ下(位置 a)に書きます。2つ目の要求事項は、その下(b)。水平線の上(c)が加工方法、頂点の右(d)が筋目の記号、記号の左(e)が削り代(mm)です(JIS B 0031 の 5.2 の図6)。
横線や円の付いた記号の違いは?
V 字の短い方の斜線の上に横線があれば、削って仕上げる面(除去加工をする)。V の中に円があれば、鋳肌・鍛造肌など前の工程でできた面をそのまま残す指示です。どちらも無い記号は、除去加工をしてもしなくてもよい面を表します。
値を書かずに記号だけで使うこともあり、V の中に円の付いた記号だけなら、前の工程でできた面のままにする指示です(JIS B 0031 附属書B 表B.1)。
文書で書くときは、それぞれ APA・MRR・NMR と書きます(JIS B 0031 の 4.4)。
Ra と Rz の違いは? 換算できる?
Ra(算術平均粗さ)は、平均線からの高さのずれを平均した値です。Rz(最大高さ粗さ)は、基準長さの中で最も高い山と最も深い谷の高さを足した値で、傷のような1か所の深さにも反応します。
Ra と Rz を換算する式や表は、JIS B 0031・B 0601・B 0633 のどれにもありません。B 0031 の参考の説明には、Rz は Ra の3倍を大きく上回ることが多いとあるだけ。図面の値を別のパラメータに置き換えるときは、設計者に確かめてください。
旧い図面の Ry(最大高さ)が今の Rz です。旧い Rz(十点平均粗さ)は今の規格では RzJIS(参考)と書き、同じ記号でも中身が違います。
16 %ルールと最大値ルール(max)の違いは?
記号に max が付いていなければ 16 %ルールです。測った値のうち、上限を超えたものが 16 % 以下なら合格になります(JIS B 0633 の 5.2)。
「Ramax 3.2」のように記号の後ろに max を付けると最大値ルール。測った値が1つでも上限を超えたら不合格です(5.3)。
粗さを測るときのカットオフ値(基準長さ)と評価長さは?
記号に書いていなければ、JIS B 0633 の表から値の範囲で選びます。たとえば Ra 3.2 は「2<Ra≦10」の行で基準長さ 2.5 mm、Ra 1.6 は「0.1<Ra≦2」の行で 0.8 mm。評価長さは基準長さの5倍で、Ra 3.2 なら 12.5 mm です。このページで値を選ぶと、その値の行の基準長さと評価長さを結果に出します。表1・表2 は非周期的な輪郭曲線(研削加工面の例)の表で、周期的な粗さ曲線は RSm の範囲で選ぶ表3 を使います。
測る向きの指示が無ければ、Ra・Rz が最も大きく出る向き、つまり筋目に直角に測ります(7.2)。向きで性質の変わらない面は、どの向きでもかまいません。
筋目の記号(= ⊥ X M C R P)は何を表す?
刃物の動きでできる筋の向きです。= は記号を書いた投影図の面と平行、⊥ は直角で、旋削・研削の面に使う。X は2方向に斜めに交わる筋(ホーニング)、M は多方向(正面フライス削り)、C は同心円状(正面旋削)、R は放射状(端面研削)、P は方向の無い粒状の面(放電加工など)です。
筋目の記号は文書の書き方には使いません。記号で表せない筋目は、図面に注記で書きます。
旧い図面の ▽▽(三角記号)や N7 は、今の記号でいうと?
N7 などの粗さ番号は、ISO 1302 の旧い版で使われた番号です。今の JIS B 0031 にも参考の表があり、N7 は Ra 1.6 µm、N8 は Ra 3.2 µm に当たります(附属書I 表I.2)。
▽ を並べる仕上げ記号は、今の JIS(B 0031・B 0601)には無い旧い記号です。▽ の数と Ra の値の対応は資料によって違うので、表面粗さの一覧に公開資料5つの値を並べました。旧 JIS(1994年版)の参考表を抜き出した資料では、▽▽ が Ra 3.2–6.3 µm、▽▽▽ が Ra 0.4–1.6 µm。旧 JIS の原本とは照らし合わせていないので、図面の注記や社内の規格を優先してください。
図面の Ry・旧い Rz・「6.3a」は、どう読む?
1994年版の JIS の Ry(最大高さ)は、今の Rz です(JIS B 0601 附属書C)。旧 JIS の Rz は十点平均粗さで、今は RzJIS と書く参考のパラメータになり、今の Rz とは別のもの。中心線平均粗さの Ra は、今は Ra75 と書きます(附属書JB)。
「6.3a」のように値に a・s・z を添える書き方は、今の JIS にはありません。旧 JIS の参考表を抜き出した資料では、a が Ra、s が最大高さ、z が十点平均粗さの値に添える字です。
このページの「使い方」で「図面の記号を読む」を選び、図面に見えている記号や値を選ぶと、今の書き方での意味を出します。粗さ番号・Ry・中心線平均粗さでは、測るときのカットオフ値と評価長さも出す。
「結果をコピー」で何が入る?
値のある記号では、1行目に測るときの条件、2行目に読み方の文、最後にこのページの URL が入ります。たとえば Ramax 6.3 なら、1行目は「Ra 6.3(最大値ルール): カットオフ値 2.5 mm・評価長さ 12.5 mm(JIS B 0633 表1。非周期的な輪郭曲線の表)」。検査の依頼や作業の指示に、そのまま貼れます。表1・表2 は非周期的な輪郭曲線の表なので、周期的な面では RSm で選ぶ表3 の基準長さに書き換えてください。
「図面の記号を読む」のコピーも同じ順です。粗さ番号・Ry・中心線平均粗さでは1行目が測る条件、2行目が「図面の「N7」の読み方: …」になる。
Ra と値の間の空白が広いのはなぜ?
パラメータ記号と値の間は、読み違えないよう半角の空白を2つ空ける決まりです(JIS B 0031 の 5.2 a))。上限値と下限値を並べるときは、上の行に U、下の行に L を記号の前に付け、空白を1つ空けて「U Ra 3.2」「L Ra 1.6」と書きます。
選べる値が決まっているのはなぜ?
このツールは、JIS B 0031 附属書1 の標準数列(Ra 47値・Rz 49値)から選ぶ形にしています。附属書1 は参考で、太字の値(Ra 16値・Rz 17値)は特に優先して使う値です。数列に無い値の記号は、このツールでは描きません。